韓国大統領の弾劾案、再び採決の見通し 北朝鮮は戒厳令を「独裁者」の「正気でない」動きと
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案が、14日に国会で再び採決される見通しとなっている。尹氏の弾劾を求める最大野党「共に民主党」が議案を提出する構えを示している。こうしたなか、北朝鮮の国営メディアは11日、尹氏による非常戒厳の動きを初めて報じた。 尹氏は3日夜に非常戒厳を宣布した。北朝鮮に同調する勢力が韓国政権の弱体化を狙っているなどと理由を説明した。その6時間後、国会の要求で尹氏は戒厳を解除した。 国会は7日、尹氏の弾劾訴追案の採決したが、与党「国民の力」の大多数が投票をボイコットしたため不成立に終わった。野党は尹氏の弾劾や辞任を求め続けており、ソウルなどでは市民らがデモを継続している。 与党議員の多くはこれまで、尹氏の弾劾訴追に反対している。しかし、今後の採決では賛成票を投じると表明する与党議員が複数出るなど、尹氏の政治家としての将来は不透明な状況となっている。 弾劾訴追案は、国会議員300人の3分の2以上の賛成で可決となる。現在の国会の構成では、可決には野党の全議員に加え、与党から少なくとも8人が賛成する必要がある。 ■「韓国の弱さが明らかに」 北朝鮮の国営紙・労働新聞は11日、韓国の動向に関する記事を6面に掲載した。尹氏の「正気でない行為」は「数十年前の軍事独裁時代のクーデターに似ている」と論評した。 また、尹氏が「ぬけぬけとファシスト独裁の刃物と銃を自国民に振りかざした」とした。 同紙はさらに、ソウルにおける動きは「韓国社会の弱さを明らかにした」と主張。「尹の突然の戒厳宣布は必死さの表れであり、尹の政治生命は早期に終わる得る」と伝えた。 記事には、ソウルでの抗議デモにプラカードやK-POPのペンライトを持って参加している韓国の若者らの写真などが掲載されている。 非常戒厳は短時間で終わったが、政治的混乱を引き起こしている。尹氏は現在も大統領職にあるが、内乱の疑いで捜査されており、出国を禁止されている。尹氏がまだどのような権限をもっているのか、はっきりしない状況だ。 与党「国民の力」の韓東勲 (ハン・ドンフン) 代表は8日、尹氏について、早期に辞任するまで国政に関与しないと発表。だが、早期辞任の道筋が週内に示される見込みはない。 国防省は、軍の指揮権はまだ尹氏にあるとしている。ただ、特殊戦司令部の司令官は、新たな戒厳令が出されても部下たちは従わないと述べている。 この不透明で危機的な状況に乗じて、北朝鮮が韓国を挑発することへの懸念も生じている。 (英語記事 N Korea mocks 'dictator' Yoon's 'insane' martial law attempt)
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