災害時に役立つ! カップ麺を野菜ジュースやトマトジュースで戻す方法
防災安全協会が実施する「災害食大賞」で審査員を務めている缶詰博士の黒川氏。これまで多くの災害食を試食したほか、食べ方も研究しているそうです。 【写真】災害時に役立つ「カップ麺を野菜ジュースで作る方法」を実践、45分でできる 「災害食といっても万能ではないので、足りない栄養は他の食品と組み合わせて補うことが大事。とくに食物繊維は必須ですぞ!」 そこで活躍するのが野菜ジュースやトマトジュースだそうですが、ただ飲むだけでなく意外な利用方法があるとか。どんな方法ですか、博士? ■SNSで反響 世界で起こるマグニチュード6以上の地震の、実に2割近くが日本周辺で起きている(2011~20年。国交省資料を参照)。日本が“地震大国”と言われているのは、本当のことなのであります。 僕は缶詰博士なので、主に缶詰を使って、少しでも被災時に役立てればと思っている。今般の能登半島地震でも「カップ麺を戻すならトマトジュースか野菜ジュースで!」とSNSで発信したところ、多くの人から反響があった。 と、同時に「もっと詳しく知りたい」という声も多かったので、実際に作る様子を詳しくお伝えしようと思う。 ■110mlの不足 今回取り上げたのは日清「カップヌードル」とカゴメ「野菜一日これ一本・長期保存用」だ。カップヌードルは「災害食大賞」で2年連続して日本食糧新聞社賞を受賞している(カップヌードル・ローリングストックセット)。 野菜一日これ一本・長期保存用(略してこれイチ長)は、「日本パッケージングコンテスト」で包装アイデア賞を受賞しており、賞味期間が5.5年とかなり長い。味も素晴らしくて、野菜の甘さとうまみが濃厚だ。 なぜ、カップ麺を戻すのに野菜ジュースやトマトジュースを使うのか? その理由は後述するとして、実はカップヌードルをこれイチ長で戻すには水分量が足りない。 カップヌードルに必要な水分量が300mlなのに対して、これイチ長は1本190g。おおざっぱに考えて190mlだ。その110mlの不足をどうするか? ■ジュースが麺の上に乗った状態 カップヌードルにこれイチ長を1本注ぐと、湯の量の目安になるカップ内側の線の位置まで満たされる。これイチ長は湯よりも粘度があるから、しばらくはジュースが麺の上に乗っている状態なのであります。 でも、取りあえずはこのままでいい。タイマーを使って、麺が柔らかくなるまでの時間を計測する。 ■厳密でなくても大丈夫 約15分が過ぎると、ジュースが麺に染みこんで水位(ジュース位)が下がる。そこでカップ内側の目安線まで"水"を足す。水分量はそれほど厳密でなくても大丈夫だ。 ■揉んだりつっついたり 約30分経つと麺が柔らかくなってくる。そこでカップをつかみ、何度かそっと外側から麺を揉む。この時にカップを壊さないよう注意されたし! あとは箸で上からつっついたりするのもいい。これで野菜ジュースが麺に均一に染み込むようになる。 ■アルファ化米にも使える 45分経ったら出来上がりだ。ちなみにこの日、外気温は6℃、室温は18℃だった。 麺の状態はわずかに固い。通常の熱湯で戻した状態に比べると、3分ではなく2.5分くらいで食べている感じ。この状態でさらに30分放置しても、麺の状態はほとんど変化しなかった。 肝心のお味は、文句なくおいしい。辛くないチリトマトヌードルといった風情で、さらに野菜のうまみが加わっているから、ちょっとゴージャスでもある。 さて、なぜ野菜ジュースやトマトジュースでカップ麺を戻すのか? 本来は熱湯を使うが、避難生活では湯が沸かせないこともある。その場合は常温の水でも時間を掛ければ戻るけど、それなら野菜ジュース(トマトジュース)を使ったほうがメリットがある。 というのも、避難生活が続くと心身ともにストレスにさらされ、老若男女問わず便秘になりやすいのだ。なので、普段の生活以上に食物繊維を取ることが大事なのであります。 このテクニックはアルファ化米などを戻すのにも使えますぞ! 缶詰情報 カゴメ/野菜一日これ一本 長期保存用 190g 参考価格150円前後 日清/カップヌードル 78g 254円(日清オンラインストア価格) ■ 缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。初のエッセイ本「缶詰だよ人生は」(本の泉社刊)も絶賛発売中! 公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。
缶詰博士