三菱ケミカルGが〝素材力〟生かす、3Dプリンター用の樹脂提案加速
三菱ケミカルグループは“素材力”を生かし、国内で3次元(3D)プリンターを使った造形物向けの提案に力を入れる。汎用樹脂からスーパーエンジニアリングプラスチックまで多様なラインアップに加え、設計力やコンピューター利用解析(CAE)に至るまでの優位性を訴求。3Dプリンターの強みである、デザイン性などが求められる建築物や家具向けをまず念頭に置く。自動車関連などさまざまな産業向けも視野に入れ、新たな付加価値を提供する。 三菱ケミカルは優れたゴム特性を持ったエラストマー「テファブロックTPS」や、高級感を表現する植物由来バイオマスエンプラ「デュラビオ」など多様な樹脂を持つ。素材のしなやかさで動きを実現する「コンプライアントメカニズム」という設計概念に加え、適切な積層プロセス条件の検討が効率的にできるCAE解析技術も提案できる。 3Dプリンターは、複雑な形状などデザイン性のある造形物を効率的に製作できる点が特徴だ。三菱ケミカルも一連の強みを生かし、デュラビオを使った3Dプリント樹脂ベンチなどの実績も出てきた。 さらに、建築設計の岡由雨子建築ディザイン(横浜市中区)と連携。このほど都内で開催した「フォームネクストフォーラム東京2024」に出展し、三菱ケミカルの素材を使って3Dプリンターで製作した造形物などをアピールした。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の成形に用いる治工具といった活用法も紹介し、あらゆる需要を探る。 建築物や家具向けのほか、自動車関連などさまざまな製造業向けにも3Dプリンターで適した素材の活用を提案する考え。3Dプリンターメーカーとの連携も想定する。3Dプリンター関連で先行する欧州拠点の知見も生かし、国内での需要開拓を本格化する構えだ。