「やれること」を「やりたいこと」に変える 小さくても何かをアウトプット、どうすれば「お金に変えられるか」を考えてみて
【年金世代・予備軍「シニアの居場所」】 会社員生活が残り少なくなり、今後どうするのかを考えてみると、「やりたいことが見つからない」という壁にぶつかることがあります。まずは「やりたいこと」を探すところから始める人も多いのではないでしょうか。 今回ご紹介する青木日高さん(57)は名古屋市公認のポップアップ・アーティストとして、認定場所で歌や演奏を披露しています。さらに、自宅でギター教室を開き、個人の生徒に演奏を教えています。その一方で、「ISO」のコンサルタントや講師というビジネスの顔も持ち、やりたいことを自由にやれているミドルシニアに見えます。 しかし、青木さんは「そんなことはないですよ。個人事業主の仕事なので、明日全部なくなるかもしれないですし、不安も多いです」と苦笑いし、こう語ります。 「私は転職を数回した最後に、組織で働くのはもう無理だと悟りました。それでもマネジメントに関わる仕事にはやりがいもあったので、それをコアにして40代前半に独立したのです」 青木さんはもともと職人かたぎが強く、組織で働くのは向いていないと認識していたそうです。それをよく理解していた奥さんも独立をとめなかったと笑います。 「本来は慎重な性格なのですが…。でも、独立する前にお客さまになってくれそうな会社さんがあったので、『じゃあ、やっちまえ!』と決めました」 独立して10年以上継続している秘訣を聞くと、「好きなようにやっているように見えるかもしれませんが、一番大事なのは『お金をいただける相手は誰なのか?』をキチンと自覚することです」と即答が返ってきました。 それでも気持ちが沈むときもあったという青木さんの心の支えが、実は思い付きで始めたギター教室だそうです。 「独立するちょっと前に家を買っていたので『暇ならギター教室でもやったら?』と妻に言われちゃって(笑)」 ところが、始めてみると生徒に教えることが本当に楽しく、つらいときも心の支えになっているそうです。 そんな青木さんも間もなく還暦を迎えます。