健康管理や身だしなみなどの「生活改善」が「職場定着」につながるーー発達障害の人の「就労支援」
健康管理などの「ライフスキル」を見直す
本人と支援者で相談して、生活面の課題を確認し、適切なライフスキルを習得できるように、改善策にとりくんでいきましょう。支援機関によっては、生活面まで含めて個別の支援計画を立て、シート形式で本人と共有しているところもあります。 (1)課題を確認する 支援者に相談しながら、健康管理や金銭管理など生活面の課題を確認する (2)目標を立てて実践 支援者とともに目標を立て、課題の改善にとりくむ。課題や目標をシート形式でまとめると、意識しやすくなる 発達障害の人には、先の見通しを立てるのが苦手で、睡眠・食事が不規則になる人や、疲れていても無理をしてしまう人がいます。支援者とライフスキルを見直すことで、生活が安定して、仕事にもしっかりとりくめるようになります。 ■体調の安定 起床から就寝まで、一日の大まかな記録をつけて支援者と相談すると、課題がわかり、寝不足などの問題が改善。体調の安定につながる ■食生活の安定 本人が不規則に好きなものを食べている場合がある。支援者と相談し、食事の内容や費用、回数を見直すことで、食生活が安定する ■心身が健康に 睡眠や食事が安定すると、心身が健康になっていく。また、不調時の医療機関の利用法などを支援者と確認することで、体調の悪化を防げるように。 ■体力がアップ 寝不足や不規則な食生活によって体力が低下していた場合、ライフスキルが整うことによって、基礎的な体力がアップする
時間やお金の管理の仕方を「構造化」する
発達障害の人のなかには、こだわりが強く、趣味など好きなことに時間やお金を過度に使ってしまう人がいます。そういう人は自分に合った形で、時間やお金の使い方を「構造化」して、実践しましょう。 時間やお金の管理の仕方を「構造化」すれば、本人が自分なりのやり方で、時間やお金を計画的に使えるようになります。自分に合わないやり方だった場合には、支援者と相談して方法を見直しましょう。 (1)管理のしくみをつくる 支援者と相談し、時間やお金の使い方を「構造化(一定のしくみ化)」する。予定や予算を決め、図表にまとめたりして、本人が管理しやすい環境を整える (2)しくみ通りに実践する 設定したしくみの通りに実践してみる。うまくいかないところがあれば、また支援者と相談する ■「構造化」の例 ・視覚的な情報の理解が得意なので、予定や予算を図表化して管理する ・持ち歩くお金の上限額を決める。クレジットカードは使用しない ・衝動的な行動が多いため、アラームを活用して時間を管理する (3)生活が乱れなくなる しくみを守ることで、時間やお金を使いすぎてしまうことが減り、生活が乱れなくなる (4)働き方も安定する 仕事に遅刻・欠勤することや、体調不良になることなどが減り、働き方も安定する 続きは<「ふさわしい身だしなみが分からない」「休日がうまく使えない」…発達障害の人の就労支援は「生活」の見直しが必須>にて公開中。
梅永 雄二(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)