はやぶさ2が着地リハ JAXA会見(全文1)航法誘導は精度15.4mを実現
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、記者会見を行い、10月23~25日に行われた小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星「リュウグウ」へのタッチダウン(着地)リハーサルの実施状況や、10月27日~11月5日に行われたホバリング状態で高度を下げるBOX-C運用などについて説明した。 【動画】「はやぶさ2」の着地リハーサルの結果は? JAXA会見(2018年11月8日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードはYouTubeのTHE PAGEチャンネル上の「「はやぶさ2」の着地リハーサルの結果は? JAXA会見(2018年11月8日)」に対応しております。
登壇者の紹介
司会:本日は説明会にお集まりいただきありがとうございます。定刻になりましたので、小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会を開催いたします。まず初めに、登壇者の紹介をいたします。皆さまより向かって右手からJAXA宇宙科学研究所 「はやぶさ2」プロジェクトチーム、ミッションマネージャ、吉川真。 吉川:よろしくお願いします。 司会:続きまして、JAXA宇宙科学研究所、研究総主幹、久保田孝。 久保田:おはようございます。 司会:皆さま向かって一番左手が東北大学大学院工学研究科、航空宇宙工学専攻、吉田和哉教授。 吉田:おはようございます。よろしくお願いいたします。 司会:の3名になります。本日、司会進行を担当いたします広報部、報道・メディア課、永松です。よろしくお願いいたします。それでは登壇者より小惑星探査機「はやぶさ2」の運用状況について説明を行います。吉川先生、お願いいたします。
タッチダウンのリハーサル実施状況
吉川:おはようございます。本日もいらしていただきまして、どうもありがとうございます。では早速、資料に基づいてご説明したいと思いますが、1ページをめくっていただきますと、本日の主な内容は前回ありましたTD1-R3、これは3回目のタッチダウンリハーサルになりますけれども、この報告と、その直後に行いましたBOX-C運用の報告がメインとなります。あとそれから、これから合運用をやりますので、それについてもご説明いたします。その他、今回はたくさん項目がありまして、それからもう1つ、今日は吉田先生にいらしていただいてますけれども、MINERVA-IIの2ですね。II2についてのご説明もあります。 今日は本当に項目が多くて、次のページの目次を見ていただきますと、このようにたくさん今日はありますので、説明のほうはなるべく簡潔にしていきたいと思います。ご質問のほうをいただきたいと思います。 では早速、次のページ、4ページ目になりますが、これはいつものまとめのページです。それから次の5ページ目もいつものページなので、これはちょっと省略いたします。 次の6ページからご説明いたしますと、これは前回の記者説明会からの進捗ですけれども、10月23日から25日に掛けて3回目のリハーサルを行いました。このときには高度13メートルでターゲットマーカを分離して、ターゲットマーカを無事にリュウグウ表面に着地することができました。探査機自体は高度12メートルまで降下をして上昇したということになります。このあと詳しくご説明いたします。それからそのあと10月27から11月5日に掛けてBOX-C運用というのを行いまして、これはホバリング状態で高度を下げていく運用なんですが、だいたい高度2.2キロほどまで降下をして、ターゲットマーカの撮影を試みて、これも成功したということになります。 では次のページ、7ページからTD1-R3の運用報告です。目的はその前の2回目のタッチダウンリハーサルのときに行いましたLRF、レーザ・レンジ・ファインダの計測値を探査機の制御にフィードバックすると、これが3回目では新しいことで、2回目のときのLRFは単に計測をしただけだったんですが、今回は計測値を探査機の制御に戻すということをやりました。さらに条件が満たされればと書いてありますが、実際にターゲットマーカを切り離して追跡もするということが目的でした。 結果的には先ほど言いましたように、高度12メートルまで降下をして、ターゲットマーカを降ろしたんですが、落とした位置がL08-Bというのは、これはこのあと写真でお見せしますけれども、タッチダウンの候補地点の名前なんですが、その中心から15.4メートル離れたところにターゲットマーカが着地、静止したということになります。ですので、一応、航法誘導の精度としましては15.4メートルの精度で実現ができたということになります。さらにそのLRFを使った制御も、これは6自由度制御に成功してまして、ここら辺は予定どおり行っております。ターゲットマーカの追跡も成功したということになります。 次のページは概略図ですけれども、時刻は実際の時刻を入れたものにしてあります。ターゲットマーカの分離時刻は10月25日の11時37分、日本時間。そのときの高度が13メートルで、探査機はそのあと1メートルほど降下をして、最低高度12メートルから上昇したということになります。 9ページ目。これは説明のときにも使った図なんですが、ターゲットマーカ分離時の少し細かいシーケンスが描かれています。これはご参考までにご覧ください。 10ページ目になりますけれども、これがターゲットマーカが表面に静止したあとの写真です。広角の光学航法カメラ、ONC-W1で撮影されておりまして、探査機の影が右手に見えますけれども、矢印の先の小さな点が、これがリュウグウに表面に静止したターゲットマーカが、これは太陽の光を反射して輝いているということになります。その左上の丸い円の一部が見えますけれども、これが先ほどお話ししましたL08-Bという、われわれがタッチダウンの第1候補として考えている領域でして、この領域の中にターゲットマーカを降ろしたかったんですが、ちょっとずれましたけれども、ほぼいい場所に落ちたと、降ろすことができたということになります。 これは、この写真は静止したあとの写真なんですが、次のページにターゲットマーカが降りていく途中の写真を2枚ほど、ここに出してあります。この左側が11時38分の撮影ですので、分離後、約1分たったあとの撮影で、まだこれはターゲットマーカは上空におります。赤い矢印の先に小さな黒い点が見えるかと思うんですが、これがターゲットマーカの影になります。さらにこの右側の写真が、さらに1分ほどたったあとの写真で、これもまだターゲットマーカそのものは上空にいるというわけで、このような感じでターゲットマーカが降りていく様子も撮影できております。 さらに次のページ、12ページなんですが、これはそのあと11時50分ごろに少し上空に昇ってから、ONC-T、望遠のカメラで撮影したターゲットマーカになります。この緑の枠の中の白い点、これがターゲットマーカでして、この図でいくとこの左上のところですね。ちょっとこれは印を描いていないんですが、ここら辺が先ほどの着陸地点候補地になります。さらにこのターゲットマーカを拡大しますと、このように白く輝いている様子が分かるということになります。 これを少し広い領域で見ますと、このような13ページの図になりまして、先ほどのこの前のページにも、このONC-Tの写真の領域が、こちらの13ページの黄色い四角に対応します。この黄色い四角が前ページの拡大写真でして、この赤い丸がタッチダウン候補地点ですので、この中心からターゲットマーカまでの距離ですね。この赤い矢印の距離が今回15.4メートルだったということになります。 ちなみにここの領域は、2回目のタッチダウンのリハーサルのときに撮影していまして、これは右側に動画としても撮れていますのでご紹介しますけれども、こんな感じで、一応これは2回目で、3回目も同じようにその予定の場所まで行って、3回目の場合にはターゲットマーカを降ろしたということになります。