恋愛感情も性的関係もない…セクシュアルマイノリティの私達が「友情結婚」したワケ #令和の親 #令和の子
性的マイノリティの二人…子どもの誕生から1年
性行為のない夫婦ではありますが、初対面の頃から「子どもはいたほうがいい」と話していました。ただ、そこにも親からの圧があります。 「『早く孫の顔をみたいという親の圧を避けたい』という思いがあったことは否定できません。もちろん『子どもが好き』という思いもありましたが、純粋な気持ちだけではありませんでした」とミナトさん。同じ理由で子どもをもうけるか悩んでいるカップルのためにも、色々な考え方があることを知ってもらえたら嬉しいと話します。 性行為がなくても妊娠する方法のうち、二人が選択したのは排卵周期ごとにタイミングをとるシリンジ法。何度か試すなかで妊娠。予定日より少し早めに出産し、家族が増えてあっという間に1年ほど経ちました。二人の思惑通り(!?)両親は孫にメロメロだといいます。 子どもが生まれてからの結婚生活は順調そのもの。その秘訣を問うと「相手に期待しないことかな」と口を揃えます。家事も育児も決まり事はなく、二人のうちできるほうがやるというのが基本スタイル。相手に求めることがないから喧嘩になることもなく、相手に対して常に平常心でいられるといいます。 どこかドライにも感じる二人の関係は友情結婚、特有のものなのでしょうか。「もし親からの圧がなくても結婚はした?」と問われれば、少し考えこんだあとに二人とも「結婚はしなかった」と回答。しかし「結婚してよかった」と意見は一致しています。 「子どもに出会うことができ、子育てという貴重な経験ができました。何よりも毎日が楽しい。ひとりでは決して得られない感覚です」 いまは子ども第一に考える生活を送るミナトさんとサツキさん。その表情は幸せそのものです。
根強い古い結婚観の背景にある「戦後80年、変わらない法律」
本来、夫婦になるはずのないミナトさん、サツキさん。二人とも「子の結婚を望む親の圧」により結婚に至りました。なぜ親は子に結婚を望むのか。そこには旧態依然とした結婚観があり、戦後にできた婚姻制度の影響が大きいといえます。山村法律事務所の北畑素延弁護士に話を伺いました。 「第二次世界大戦後、日本国憲法が公布され、婚姻は『両性の合意のみに基づいて成立する』「婚姻および家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない』と規定されました。それを受けて1947年に民法は改正され、現在の婚姻制度の基礎となる部分が成立しました」 戦後、社会は大きく変わりました。特に昨今は多様性が認められつつあり、人々の意識にも変化が見られます。しかし婚姻制度の基本となる部分は変わっていません。 「現行の婚姻制度は戦後約80年間、日本国民にとって一定の指針となってきたといえるでしょう。ただ、戦後80年になろうとしている今、結婚観も多様化し、夫婦同姓を巡る議論も活発ですし、同性同士の婚姻を認めない法律規定は憲法違反という高等裁判所の決定も今年になって複数出ています。これは、婚姻制度に対する国民の意識の高まりが反映された結果といえます」 従来型の価値観や法律に縛られ、「結婚すべきか、それとも……」と苦しい思いをしてきた人達。現行の婚姻制度が始まり80年、社会が多様化するなかで、今後は法律のほうが人々の価値観に歩み寄る時代が来るかもしれません。 ※この記事は、THE GOLD ONLINEとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
THE GOLD ONLINE編集部