「中年太り」の原因はご存じですか? 名古屋大が世界初のメカニズム解明!
今回の研究内容への受け止めは?
編集部: 名古屋大学による研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。 中路先生: 今回の名古屋大学の研究グループの基礎研究では、使用したラットのほとんどがオスであったことなどの研究の限界があることに加え、性差に関しての検討も必要でしょう。ただ、「加齢によって、床下部ニューロンのMC4Rが局在する一次繊毛が退縮し、それにより加齢性肥満が起こる」ということを世界で初めて発見した大変素晴らしい研究です。今後、「ヒトでの一次繊毛の加齢に伴う短縮と加齢肥満」についての研究の発展を期待します。
今後、どのように活かすことが期待される?
編集部: 今回の研究結果は、中年太りのメカニズムの一端を明らかにしたものです。今後、実際に臨床などで活用していく場合、期待できるポイントを教えてください。 中路先生: 今後、分子レベルでの機序の解明により、退縮を防ぐ医薬品の開発が期待されます。また、加齢によって失われたMC4R局在の一次繊毛が摂餌制限によって再生したことを、人でも同様に証明できれば、中高年の肥満症治療での「カロリーを抑えた食生活を送る」具体的なプログラムの開発につながることも期待されるでしょう。
編集部まとめ
名古屋大学による研究グループは、加齢によって太りやすくなる「中年太り」の仕組みについて研究し、原因は代謝を促す脳の神経細胞のアンテナが縮むとみられることを明らかにしました。中年太りを気にする人は少なくないので、今後の研究にも注目が集まりそうです。
【この記事の監修医師】
中路 幸之助 先生(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター) 1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。