ヴィッセル神戸 大迫、武藤+宮代=リーグ屈指の強力前線 誕生までの歩みたどる
「半端ない」大迫が抑えられたらどうするか-。昨季22ゴールで得点王と最優秀選手賞(MVP)に輝いた大黒柱に、今季は他チームから一層厳しい対策が及ぶのは必至。神戸は武藤を含めたリーグ屈指の前線に、さらなる補強を目指した。 【写真】ヴィッセル神戸リーグ連覇 シャーレを掲げて喜ぶ選手たち 強化責任者、永井スポーツダイレクター(SD)には是が非でも獲得したい選手がいた。出会いは6年以上前。東京Vのユース監督時代、初めてマンツーマン守備を指示せざるを得なかったのが、当時川崎のU-18にいたFW宮代だった。ドリブル、シュート力を備えた万能型で「当時からずぬけていた」。高い評価を多くの人を介して伝え、思いは実った。 主力の座をつかめる保証はなくても、宮代は国内トップレベルで競い合う環境を求めていた。「成長できる」と入団を決断。大迫、武藤の存在にも「憧れちゃ駄目。負けたくない気持ちで」と向上心をたぎらせた。 開幕から2戦は各10分の出場にとどまったが、チャンスが訪れる。汰木(ゆるき)と佐々木がそろって負傷。3戦目のFC東京戦で初先発すると、広瀬のクロスに頭で合わせ、初ゴールで勝利に貢献した。「大きかった」と振り返る飛躍の転機となった。 強度の高い練習と実戦を重ねながら成長。夏場に1カ月半、負傷離脱しても「ネガティブにならずに自分と向き合えた」。その間に体づくりに努め、復帰後は「ゴールを決められる自信があった」と2戦連発。最後は5クラブ目で初の2桁となる11得点まで伸ばした。 13得点の武藤、11得点の大迫との強力トリオは、相手の脅威に。優勝会見で吉田監督は語った。「宮代が入ったことで(相手マークが)分散され、みんなが点を取れるチームになった」 前線だけではない。今季は秋冬のアジア・チャンピオンズリーグ・エリートを見据え、各ポジションに複数、同レベルの選手を求めた。国内組で実績のある広瀬、井手口らの獲得に成功。やがて訪れるチームの危機を、彼らが救う。