ラグジュアリーブランド がカテゴリーを多様化する理由。本格時計に進出するルイ・ヴィトンなど:Luxury Briefing
クリス・エチェバリア氏は、常日頃からフットウェア以外のデザインも手がけたいと考えていた。彼のブランド、ブラックストック&ウェーバー(Blackstock & Weber)は、ファッションが注目を浴びたHBOのドラマシリーズ『メディア王 ~華麗なる一族~(Sucession)』で俳優のブライアン・コックス氏が最近着用した500ドル(約7万3800円)のローファーで知られている。エチェバリア氏は3年以上前から、そのブランドとは別にメンズウェアのデザインに進出したいと思っていた。 だが、ラグジュアリー業界では専門性が品質の証とみなされることが多いと、エチェバリア氏は言う。カテゴリーの拡大は新たな収入源となりブランドを成長させる反面、どんな分野の専門家として知られていても、カテゴリーを拡大することにはブランドイメージを希薄化させるというリスクも伴う。 エチェバリア氏の解決策はシンプルだった。サブブランドを立ち上げたのだ。彼のメンズウェアブランド、アカデミー(Academy)は、ブラックストック&ウェーバーとは別にウェブサイトとブランディングが存在する独立したブランドとして、11月17日にローンチした。価格もブラックストック&ウェーバーより少し高く、コートが1200ドル(約17万6900円)だ。しかし舞台裏では同じデザインとマーケティングのチームが両方に携わっている。エチェバリア氏にとって、このアプローチは両方の長所を兼ね備えている。メンズウェアのデザインを独立させることができるが、ふたつのブランドが関連していることも周知の事実だ。たとえば、アカデミーは、ブラックストック&ウェーバーのサイトで宣伝されている。 エチェバリア氏は自らのアプローチを、彼がもっとも影響を受けた人物のひとりであるラルフ・ローレン氏が、RRL、パープルレーベル(Purple Label)、ポロ(Polo)といったサブブランドを立ち上げ、ビジネスの異なる部門の差別化を図ろうとしたことと比較した。 「ラルフはおそらく、RRLの商品をポロやラルフ・ローレン(Ralph Lauren)の下で売ることもできただろうが、彼が求めていた世界を作るためには、複数のブランドを創出する必要があった」とエチェバリア氏は語った。「ブラックストック&ウェーバーはあくまでも靴のブランドであり、私はそれを維持したい」。