梅酒や梅干しだけじゃない! 大量青梅を使い尽くす、飛田和緒の簡単「梅仕事」
梅の品種や状態を見ながら「何を仕込もうか」
「梅はちょっと時期がずれるだけで産地や品種が変わるので、まず小梅が出始めたら、小梅漬けを、少したって青梅が出始めたら梅シロップ、青梅煮、青梅のカリカリ砂糖漬けを仕込みます。その後南高梅が出回ったら、梅干しや“ポタポタ漬け”を作ります。 ポタポタ漬けというのは、実家のある長野の郷土料理で、酢と氷砂糖で漬ける甘酸っぱいお茶請けなのですが、甘みと酸味のバランスが良くて、いくら食べても飽きない味。作るのにちょっと手間がかかるので、梅を逃してしまったり、時間がうまくとれなかったりで、作れない年もありますが……。 必ず作るのは梅シロップと梅干し。後は梅の状態を見ながら……と義務にはしない感じでやっています」。(飛田) 長く漬け込む梅干しやポタポタ漬け、梅酒は傷がある梅は使えません。飛田さんは傷のある梅はよけて、別の使い方をするようです。 「傷が多くてはじいた梅は青梅、完熟梅ともに、みそやしょうゆと合わせて梅みそ、梅じょうゆを作ります。これはどちらも梅を食べるのではなく、梅風味の調味料。和えものや、お刺身のしょうゆにしたりして、使います」。 梅じょうゆは清潔な瓶や容器に梅を入れ、ヒタヒタまでしょうゆを注ぎます。梅みそはみそに梅を埋め込んでおきます。ともに3週間~1か月おけば使えます。梅に漬けた梅じょうゆは、まるでポン酢しょうゆのよう。ぜひお試しください。
梅シロップは漬ける前に冷凍
飛田さん宅に撮影などで伺うと「まずは冷たいものを」と出してくださるのが梅シロップです。1杯いただくと汗が引いて「さあ、仕事!」とスイッチが入ります。 毎年作っているという梅シロップの仕込み方を教えてもらいましょう。材料は青梅と氷砂糖を同量で準備します。 「青梅はよく洗ってヘタを取り、カビの原因になるので水気をふきとって、竹串などで3~4ヶ所穴をあけて、食品用ポリ袋に入れて一晩冷凍します。翌日作業ができなければ、2~3晩でもよいのですが、霜がつかないうちに次の作業へ。冷凍することで梅の繊維が崩れて梅エキスが出やすくなるためと梅農家さんから教わりました。冷凍庫に入らないという方はどうぞ冷凍作業を飛ばして次の工程へ」。 作るのは小さめの瓶がおすすめです。梅1kgなら1ℓの保存瓶でもいいくらい。 「煮沸した瓶に氷砂糖と梅をめいっぱい交互に入れてふたをし、冷暗所に一晩おいておきます。そうするとシロップが出て、梅がしぼむので、残りの梅と氷砂糖を重ねていきます。もちろん大きめの瓶で作ってもいいのですが、でき上がりは大瓶の半分ほどになってしまいます。後々の保存のことを考え、このように何日かかけて、できるだけぴったりサイズの瓶に詰めるやり方になりました」。 「梅と砂糖の分量は同量にしていますが、作り続けていくうちに砂糖を減らしてみたり、氷砂糖をきび糖などに変えたりしていただいても。ただ砂糖が少なくなると傷みの原因になったり、粉状の砂糖はうまく溶けなかったりすることもあるので、はじめて作る方には上記レシピをおすすめしています。そして梅がしっかり漬かるくらいにシロップができ、砂糖が完全に溶けたら完成です」。 でき上がった梅シロップの保存はどうすればよいのでしょう。 「冷暗所で保存、と言いたいところですが、それはどこ? となりますよね。しかもでき上がるとブクブクと泡が立って発酵することも。 発酵が過ぎると瓶が割れることもあるようなので、でき上がったら、冷蔵庫に入れることをおすすめします。 瓶ごと入らないときはシロップと梅を分けて、煮沸した小瓶などに移してください。それでも冷蔵庫がいっぱい、と言う時は、シロップだけ鍋に入れてさっと沸かし発酵を止めます。熱いうちに梅を戻せば、再び常温保存も可能です。2~3か月のうちに消費してください」。