明日発表!元阪神バース、横浜DeNAラミレス監督は野球殿堂入りできるのか?
プレーヤー投票は投票者が7人を連記するスタイルだが、昨年度の金本氏は、わずか当確ラインを2票上回っただけ。 昨年度、242票(65.8%)を集めて“王手”をかけている元中日の立浪和義氏(49)、日米で通算313セーブを挙げている異色のストッパー、高津臣吾氏(50)らの有力候補がいて、票割れするケースや、ここまで根強く存在しているように見受けられる「日本人候補者優先」のような“偏見”が足を引っ張るかもしれない。 タイトル&2000本安打の記録だけで見れば、元広島の野村謙二郎氏(52)、元ダイエー、巨人、侍ジャパンの監督まで務めた小久保裕紀氏(47)、元横浜、広島の石井琢朗ヤクルト打撃コーチ(48)らもいるのだ。そう考えると、将来的な可能性は別にしてラミレスの1年目当選も微妙かもしれない。 エキスパート表彰では確実に票を伸ばしてきたバースに選出の可能性がある。バース氏は、2004年に202票を奪いながらもラインに届かずプレーヤー表彰の資格を失ったが、2013年からエキスパート表彰の候補者として復活。ここまで2013年は10票、2014年は36票、2015年は43票、2016年は40票、2017年も40票だったが、昨年度は57票(46.7%)と大きく票を伸ばし3位につけた。 阪神でのプレーは6年間。1985年、1986年と2年連続で3冠王を獲得して1986年の打率.389は、今なお破られないシーズン日本最高打率である。あのイチローでさえ最高打率は.387である。阪神が日本一となった1985年にはクリーンナップを打ち、巨人戦で槙原寛己から放ったバース、掛布雅之、岡田彰布の甲子園バックスクリーン3連発は、今なお語り継がれる球史に残る名シーンである。王貞治氏の記録に並ぶ7試合連続本塁打を放ち、阪神ファンの間では「神様、仏様、バース様」と呼ばれるほどの絶大な人気を誇った。 ただ通算記録では743安打、202本塁打、486打点で大きく見劣りする。しかも、バースには引退後の指導者としての功績がまったくなく、阪神退団時のいざこざや、暴露本の出版など、投票権を持つ関係者からは、現役時代の品格に対して異議を唱える声もある。 エキスパート表彰では、元中日の投手として活躍、その後、投手コーチとして名を馳せ、監督としては横浜ベイスターズで優勝した権藤博氏(80)が、昨年度は、80票(65.6%)を獲得しており、今年度こそ当確との見方がある。2008年からプレーヤー表彰とエキスパート表彰に分かれたが、エキスパート表彰は、4年度分で該当者がないなど、狭き門であることを考えると、2017年には、星野仙一氏と、平松政次氏が、ダブル当選した例はあるが、複数当選の可能性も低いのかもしれない。 年末恒例のテレビ朝日の番組「プロ野球総選挙―レジェンド編-」では、ランキング形式で上位30人が発表されたが、バースが13位、ラミレスが18位で外国人選手としては、この2人だけが入っていた。この番組が、どんな基準でアンケートを集めたのか、それこそ曖昧で、つっこみどころ満載のランキングとなっているが、この2人が代表的な“最強助っ人”としてファンに認知されていることの指針にはなる。 メジャーの殿堂入りでは、記者の一部が事前に誰に投票したかを明らかにして、当確予想のサイトが運営されるなど、ファンを巻き込んで,かんかんがくがくの議論が行われ、それらが、殿堂の価値を高め、啓蒙することにつながっている。例えばイチローの記事には、「殿堂入りが確実視されるイチロー」と、その形容詞に使われるほど、殿堂はプロ選手の最高の栄誉として絶対的な権威を持つに至り、ファンにも広く認知され、立派な文化的財産となっている。。 翻って日本の野球殿堂の権威や価値は、メジャーのそれに比べるとまだ寂しい。名球会の価値の方が高いと見る向きもある。今回、バース、ラミレスの殿堂入りの動向が、日本の野球殿堂の定義や存在意義、選出方法に対する問題提起をすることにつながれば、それはそれで意味はある。 記録と記憶のどちらを優先すべきなのか。日本のプロ野球の発展への貢献、功労の定義とは何なのか。日米の扉が開かれ“二刀流”の大谷翔平が、メジャーの常識を逆に打ち破るような時代である。今回、2人の殿堂入りが結果的に難しい、としても、そろそろ「外国人より日本人優先」「年功序列による順番待ち」などの“忖度”も払拭され、殿堂入りの“グローバル化”が進められてもいいのではないだろうか。