国士舘 野球できる喜びかみしめ 15日の磐城戦に向け「いつも以上に結果を」
熱戦が続く「2020年甲子園高校野球交流試合」は大会第4日の15日、国士舘(東京都世田谷区)が第2試合(午後0時40分開始予定)に登場する。新型コロナウイルス禍に翻弄(ほんろう)されながらも全力で野球に取り組んだ東京都内の球児たちを代表し、センバツ21世紀枠だった磐城(福島)との一戦に臨む。【川村咲平】 センバツ中止が決まり、チームは3月中旬から全体練習を中断した。主戦の中西健登投手(3年)は筋力トレーニング中心で、ボールを使うのは公園でのキャッチボール程度。「試合がしたい」。全力投球ができず、もどかしい日々が続いた。 当初は「夏がある」と思っていた。だが5月中旬、夏の甲子園も中止になり、いよいよ「野球やる意味あるのかな」とふさぎ込んだ。「野球人生は終わらない」という両親の言葉に救われた。 選手たちは学校が再開した6月1日、約3カ月ぶりに顔を合わせた。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用するチームも少なくないが、国士舘は原則禁止。自主性を重んじ、あえて近況を把握しなかったという永田昌弘監督(62)は「思ったより引き締まっていた。鎌田(主将)も日焼けしていた」とうれしそうに語った。 都高校野球連盟主催の独自大会、そしてセンバツ交流試合。相次いで新たな目標が設定され、選手たちは野球ができる喜びをかみしめた。独自大会は3年生だけで挑んだ。打線は連戦の2桁安打。4回戦では昨夏敗れた日野に雪辱を果たすなど躍動した。準決勝で敗退したが、「最後まで全員でチームに尽くそう」と切り替えた。 センバツ交流試合前最後の練習公開となった12日。選手たちは、このチームで過ごす残り少ない時間を惜しむように、ひときわ大きな声で守備や打撃に取り組んだ。中西投手は「いつも以上に結果を求めたい」。永田監督は「最後にもう一度、国士舘が求めてきた野球を見せ、後輩に引き継ぐような試合にしてほしい」と語った。