松重豊、韓国では大谷翔平より有名!?『劇映画 孤独のグルメ』公開初日にユ・ジェミョンも駆けつけ会場を沸かす
『劇映画 孤独のグルメ』の初日舞台挨拶が1月10日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、松重豊(監督・脚本・主演)、内田有紀、磯村勇斗、村田雄浩、オダギリジョーが出席。韓国から俳優のユ・ジェミョンも駆けつけ、会場を沸かせた。 【写真を見る】シックなブラックのティアードスカートで登場した内田有紀 原作の久住昌之、作画の谷口ジローによるハードボイルドグルメ漫画を原作とし、2012年からテレビ東京系列で放送されている人気ドラマの劇場版となる本作。輸入雑貨商を営む主人公、井之頭五郎(松重)が、営業先で訪れた土地で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいものを独り自由に食す様子を1話完結で淡々と描いたドラマは、食欲をそそる料理と松重演じる五郎の大胆な“食べっぷり”や“心の声”に多くの共感が生まれ、その魅力にハマる人が続出。このたびテレビ東京開局60周年特別企画として、『劇映画 孤独のグルメ』となって登場した。 長らく井之頭五郎を演じてきた松重が、監督、脚本、主演を務めた本作。上映後の会場から大きな拍手を浴びて登壇した松重は、「13年にわたって井之頭五郎というキャラクターを務めさせていただきましたが、まさか13年後にこうして映画になって舞台挨拶で挨拶するなんて夢にも思いませんでした。ここにいるすばらしいキャストのお力を得て、皆さんの前でお披露目することができました」と感謝を伝えつつ、「腹、減ったでしょう?」と観客のお腹の空き具合を気にかけて、会場も大笑い。「この映画はお腹が空くように仕組まれている」と目尻を下げた。五郎の友人、滝山役を演じている村田は「ありがたい。私も13年前からドラマに関わっていて。映画に参加できた」と大喜びだった。 ステージでは、善福寺六郎役として遠藤憲一が出演していることが明らかになった。松重は「『孤独のグルメ』をずっとやっていますが、10人に一人くらいは『よく観ています、“孤高のグルメ”』と言われるんです。それならば、この映画に『孤高のグルメ』を出してやれと思った」と『孤高のグルメ』という番組を劇中に登場させようと思ったとのこと。「若いころに役を取り合ったというか、僕ができない時には遠藤さんがやって、遠藤さんができない時には僕がやってというくらい、被っているキャラクターだった。その遠藤さんに善福寺六郎という役をお願いした」と楽しそうに話しながら、「遠藤さんはポスターにも名前が載っていないし、完成披露にも呼ばれていないので、寂しがっていたみたいです。今日、初解禁。これからは遠藤さんの名前を連呼できる。あの衣装は、僕が昔に着ていた衣装です。サイズも合うんですよ」と秘話を口にした。中華ラーメン店「さんせりて」の店主を演じるオダギリは、「とても充実した、濃厚な時間を過ごした」と遠藤との共演について語っていた。 さらにこの日は、松重に直接祝福のコメントを送るために、韓国からユ・ジェミョンが緊急来日。松重とジェミョンは、10月に行われた釜山国際映画祭以来となる再会を果たした。ドラマ「梨泰院クラス」の長家(チャンガ)の会長チャン・テヒ役などで知られるジェミョンは、劇中で入国審査官役を演じた。ジェミョンが花束を持ってステージに姿を現すと、サプライズでの登場に会場も「ええー!」とびっくり。ジェミョンとがっちりと握手を交わした松重は、「韓国の俳優さんとどういうやり取りができるかなと考えた。言葉のコミュニケーションではなくて、言葉が通じなくても心の交流ができるようなシーン」をイメージしていたという。「熱烈なラブコール」によってジェミョンの参加が叶い、「思った以上のシーンになった」とジェミョンの俳優力を称えた。 ジェミョンは「20年ほど前に『KT』という作品で、初めて日本の映画に出演しました。その時は、オーディションを受けて参加させていただきました。今回『孤独のグルメ』に参加させていただき、大変光栄」と感激しきり。「監督は非常に真摯で慎重で、突き詰めて演出をしていた。意見を交換し合ううちに、気持ちが一つになっていった。短い出番でしたが、その瞬間を重く受け止め、大事に思っていただいた。共に作り上げる過程はとても幸せな時間でした」と宝物のような時間になったと心を込めた。 松重とジェミョンのやり取りはアドリブによるものだそうで、松重は「エチュードを長回しで撮っていった。お芝居って言葉じゃないんだな、気持ちで通じ合えるんだなと改めて確認した」としみじみ。五郎が迷い込む韓国領の島のコミュニティで暮らす女性、志穂を演じる内田も「間がすごい…。アドリブなんですか。お2人の呼吸で?驚きます」、“究極のスープ”探しをする五郎を手伝うことになる青年・中川を演じた磯村も「日本と韓国を代表する俳優さんのエチュードを、贅沢に堪能した。すごくステキなシーンだった」と惚れ惚れとするなか、ジェミョンは「俳優、スタッフの皆さんと紡いだ大事な時間が、いまでもすばらしい思い出として残っています」と穏やかな笑顔を浮かべていた。 ジェミョンがスタッフ一同を誘ってご飯に行った日もあったといい、松重は「ラッキーと思って。その節はごちそうになりました」とお茶目ににっこり。本作は韓国での公開も予定されているそうで、松重はプロモーションで韓国を訪れるとのこと。「韓国で受けた取材で、『あんた、韓国国内では大谷翔平より有名だよ』と言われて。ちょっと天狗になっているところもある。その勢いで、韓国でブイブイ言わしてこようかな」と意欲を見せて会場を笑わせていた。 取材・文/成田おり枝