「ワザと誤った申告をしていたのでは?」税務調査官の目が厳しくなることも…「税務調査“前”の修正申告」で得する人、損する人【税理士が解説】
税務調査前に修正申告をするデメリット
税務調査前に修正申告をするとメリットばかりではなく、次のようなデメリットが生じる可能性もあります。 ■事前通知後の修正申告では税務調査が厳しくなる可能性がある 税務調査の事前通知を受けて修正申告を行った場合、意図的に正しく申告を行ってこなかったのではという印象を与えてしまう恐れがあり、調査官によってはより厳しく調査を進める可能性があります。 ■調査対象と期間が長くなる 税務調査の調査対象期間は、通常は過去3年分となります。しかし、税務調査前に修正申告を行った場合、3年分の修正申告を行うと、税務調査時の調査対象期間が過去5年分にまで拡大される可能性があります。もし、4年前、5年前にも修正申告前のような処理を行っていれば、税務調査時に調査官から指摘を受け、更なる加算税の支払いが必要になる場合もあるでしょう。 通常であれば3年間の遡及期間が5年に増えてしまう可能性がある点は、税務調査前に修正申告をするデメリットだと言えます。ただし、さかのぼって修正申告ができる期間は、過去5年分までです。申告内容に不備がある場合には、5年前までさかのぼって修正申告をした方が良いでしょう。
税務調査前に修正申告をすべき?
税務調査前に修正申告を行うことについては、メリットもあればデメリットもあります。そのため、税務調査前に修正申告を行うべきかどうか悩むこともあるでしょう。では、どのような場合は税務調査前に修正申告を行うべきなのでしょうか。 ■税務調査の事前通知を受けていない場合は修正申告をすべき 税務調査の事前通知を受けていない状態で申告内容の誤りに気が付いた場合などは、早急に修正申告を行いましょう。なぜなら、事前通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税の課税を回避できるからです。 ■判断に悩む場合は税理士に相談 税務調査の事前通知を受けた場合は、税務調査前に修正申告をした方が良いのかどうかの判断は、簡単ではありません。修正申告を行ったことで税務調査の目が厳しくなり、修正申告書を作成する際に気が付いていなかった点や細かな部分まで指摘を受けてしまう恐れもあるからです。 また、事前通知を受けてから修正申告を行う場合、短期間で複数年分の修正申告書を作成しなければならず、正確な修正申告書を作成できないリスクもあるでしょう。 税務調査に不安があり、修正申告をした方が良いのかどうか悩む場合は、事前通知を受けたタイミングで税理士に相談することをおすすめします。