巨人に「第2の大竹耕太郎」 2年連続未勝利右腕が新天地で復活の予感
取り戻した直球の威力
新加入選手の活躍は、チームに大きなプラスアルファをもたらす。巨人で再起を誓う高橋礼が開幕から先発ローテーションの座をつかみ、3試合登板で2勝0敗、防御率0.47。最高のスタートを切った。 【選手データ】高橋礼 プロフィール・通算成績・試合速報 今季初登板が開幕カードの3戦目という起用法が、阿部慎之助監督の期待の大きさを物語っている。3月31日の阪神戦(東京ドーム)。最速137キロの直球にカーブ、シンカー、ツーシームを織り交ぜる緩急自在の投球で6回1安打無失点。白星はつかなかったが完璧に近い投球だった。4月7日のDeNA戦(東京ドーム)でもスコアボードにゼロを並べる。6回3安打無失点で移籍後初勝利。ソフトバンク時代の2021年4月17日の西武戦以来1086日ぶりの白星だった。14日の広島戦(東京ドーム)でも7回2安打1失点の好投で2勝目をマーク。3回に先制点を許したが、4回以降は1人の走者も出さずテンポの良い投球で逆転劇を呼び込んだ。 他球団の首脳陣は、「ソフトバンク時代から力のある投手。好投を続けていることで自信につながっている部分もあると思う。技術的な点で言えば、直球の球威を取り戻したことが大きい。アンダースローは特殊な投げ方なので分析が難しいが、高橋礼の場合は投球フォームのバランスを崩して直球の球速が落ちて制球も荒れていたが、今は違う。フォームのメカニズムが納得できる形になり、直球の球速が130キロ台に戻り、制球もきっちりできていることで緩急が生きている。この投球を続ければ、2ケタ勝つ力は十分にある」と警戒を強める。
制球難に苦しむ登板が続いて
ソフトバンクではプロ2年目の19年に12勝6敗、防御率3.34の活躍で新人王を受賞。翌20年は中継ぎに回り、52試合に登板で4勝2敗23ホールド、防御率2.65でリーグ優勝、日本シリーズ4連覇に貢献した。 さらなる進化を求め、フォームの改造や新しいカーブの習得に着手したが、21年の開幕前に週刊ベースボールのインタビューで仕上がり具合を聞かれた際、「いや、まだもう少しですかね。今、カーブを覚えていて、スムーズにカーブを投げるという部分と、力強い真っすぐを投げるという部分で、フォームにズレが生じている。そこのズレがなかなか……。やっぱり真っすぐありきの変化球なので、今のままだと真っすぐがそこまで来ていないんですよ。もうひと頑張り、精度を上げないと、このままだと厳しいかなと思います」と危機感を口にしていた。 同年は春先から制球難に苦しむ登板が続き、34イニングで32四球。11試合登板で1勝のみと輝きを失い、22、23年も2年連続未勝利と結果を残せない。伸び悩むサブマリンに待ち受けていたのは新天地への移籍だった。昨オフにアダム・ウォーカーとのトレードで泉圭輔と共に巨人へ。春季キャンプ、オープン戦から状態の良さをアピールし、先発の座をつかんだ。