参道を歩くときは中央?端っこ?間違いやすい初詣のしきたり【年末から年始のマナー】
お正月の行事でもっともしきたりが多く、マナーを意識する場といえば初詣でしょう。今回は、家を出る前の準備から、鳥居をくぐり、手水舎で心身を清めるまでのマナーを、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えていただきます。 【イラストで確認】初詣に行く前におさらい。初詣の参拝マナー ■神様の通り道である参道の中央を歩かない まずは初詣に行くときの服装ですが、神様の前で祈るわけですから、汚れた服や着古した普段着は避けてください。 清潔で、いつもより少し上質な服装を心がけましょう。 また、神社は神聖な場所であり、鳥居は聖域を区切るものです。 鳥居をくぐる時には立ち止まって、軽く一礼をしましょう。 参道の中央は正中(せいちゅう)と言って、神様の通り道とされています。 お参りの際は左右どちらかの端に寄って歩き、拝殿へ向かってください。 「手水舎の場所があらかじめわかっていれば、参道を横切らずに済むよう手水舎がある側を歩くようにします。横切らなければいけない時は、心の中で神様に『失礼します』と申し上げながら、軽く一礼して静かに通りましょう」(岩下先生) ■お清めは右手で柄杓を持って左手から水をかける 本来、神様の前に出るときには、禊ぎなどを行い、身を清めてからにすべきです。 それが難しい現代では、手と口を清めることで禊ぎの代用としています。 つまり、手水舎はただ手を洗うための場所ではなく、自分の身を清める場所なのです。 正しい作法を知って、心身のけがれを祓ってからお参りしましょう。 <手水の手順> ・右手で柄杓を取り、たっぷり水をくみ上げる ・左手に水をかけて清める ・柄杓を左手に持ち替えて、右手を清める ・柄杓を右手に持ち替えて左手で水を受けて、口をすすぐ ・再度、左手を清める ・柄杓を縦にして、持ち手まで水を流して清める 濡れた手を洋服などで拭いてはお清めした意味がなくなってしまうので、きれいなハンカチや手ぬぐいで拭くようにしましょう。 感染症予防の観点などから手水の利用が制限されている場合もありますが、初詣に行く前にお風呂に入って身を清めておけば、手水舎を使う必要はありません。 そんな時間がないときも、ウエットティッシュなどで手を拭き、汚れを落とすことだけはしておいてください。 *** 初詣はすがすがしい気持ちで臨みたいもの。いざというときになってまごまごしたり、礼儀を知らない人だと眉をひそめられたりすることのないよう、きちんと作法を覚えておきましょう。 教えてくれたのは… ▶岩下宣子先生 「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。 文=高梨奈々 イラスト=前川さなえ