新型BMW 1シリーズは足のいいコンパクトハッチ サイズは関係ない!
マイナーチェンジを受けたBMW「1シリーズ」に、大谷達也が試乗した。“ビーエム”らしい最新のコンパクト・ハッチバックに迫る。 【写真を見る】新型1シリーズの内外装など(241枚)
老若男女OK
「最近のBMW、乗るとめちゃくちゃいいんだけれど、デザインがちょっとねぇ……」 近頃、そんな話をよく耳にする。たしかに、この頃は見ためのインパクトが強烈で個性的なBMWが少なくない。思い切りキドニーグリルの背が高くて、ヘッドライトが2階建てのように見える現行「7シリーズ」はその最たる例だろう。ただ、最新の7シリーズを含め、最新のBMWは20代や30代の若者から幅広い支持を得ているらしく、たとえばアメリカでもセールスは好調な模様。反対に、いまのBMWデザインに違和感を覚えるのは年齢を重ねている証拠といえるかもしれない。 先ごろデビューした新型1シリーズは、そんなBMWの新しいエッセンスを採り入れつつ、“ベテラン層”にも無理なく受け入れてもらえそうなデザインに仕上がっている。 一部モデルのキドニーグリルにななめのラインが入ったのは目新しいけれど、キドニーグリルそのものは横長で、私たちが見慣れたデザインに近い。ただし、その縁取りにはイルミネーションが入って夜間はグリルの形がクッキリと浮き上がるように工夫されているそうだ。 クルマを横から眺めたとき、ノーズが長く見えるのは直列6気筒エンジンを代々搭載してきたBMWの特徴ともいえるプロポーション。もっとも、1シリーズはエンジンを横置きにしているので必ずしもノーズを長くする必要はないのだけれど、キドニーグリル付近を前方まで長く伸ばすことによってBMWらしいプロポーションを再現している。同じくボディサイドのキャラクターラインが直線的で後上がりとなっているのも、BMWらしいデザインのひとつといえる。 いっぽうで車内は、若いデジタル世代をはっきりと狙ったような作りとされている。 その中心にあるのが大きく湾曲した巨大なディスプレイ。ここには、10.25インチのメーターパネルと10.7インチのセンターディスプレイがドライバーを取り囲むように搭載されていて、良好な視認性と操作性を実現している。なお、そのOSにはアンドロイド・オープン・ソース・プロジェクト(AOSP)をベースとするBMWオペレーティング・システム9が用いられていて、サードパーティが開発したアプリのインストールも可能という。 ダッシュボードまわりの物理スイッチを極力減らしてシンプルな造形に仕上げる一方、曲面や斜めのラインを多用した3次元的なインテリア・デザインも最近のBMWらしい特徴のひとつ。キャビンのいたるところにカラフルなイルミネーションを設けている点も若い世代から支持されそうだ。 そうした遊び心を採り入れながら、室内スペースの確保には真面目に取り組んでいるのもBMWらしいところで、身長171cmの私が前後に腰掛けても後席の膝まわりには拳ひとつ半、頭上にも拳ひとつ分のスペースが残る。容量300~1135リッターのラゲッジルームを含め、Cセグメント・ハッチバックとしては十分な広さだ。