新型BMW 1シリーズは足のいいコンパクトハッチ サイズは関係ない!
ハードでも、ソフトでも
今回試乗したのは120とM135 xDriveの2台。前者は3気筒1.5リッターのガソリン・ターボエンジンを積む前輪駆動モデル、後車は4気筒2.0リッターのガソリン・ターボエンジンを積む4輪駆動の高性能モデルだ。 先に試乗したのはM135。従来であればM135iと、ガソリンエンジン搭載を示す“i”が添えられていたが、“i”は将来的にEVを示す文字として使われるため、今後はシンプルにM135もしくは120と呼ばれることとなった。 走り始めると、いかにもハイパフォーマンスモデルらしいソリッドな足まわりであることに気づく。強力なダンパーでボディーを支えることにより、重厚感溢れる乗り心地とフラットな姿勢を保つことを目指したサスペンションだ。その割に嫌な硬さを感じさせないのは、サスペンションそのものの動きがスムーズなほか、ボディーが頑丈なことによるのだろう。 ちなみにM135は、前後に補強材(ブレース)を組み込んだアダプティブMサスペンション仕様をベースとしながら、ここに後輪の位置決めを正確にするためのX-ストラットと呼ばれる補強材をさらに追加。ハードな走りにも耐えられるボディー剛性を実現している。 新たに48Vシステムが追加されたパワートレインは低回転からトップエンドまで力強いパワーを発揮。しかもトルク特性がフラットに近いので、どこかの回転数から急にパワーが立ち上がることもなく、扱いやすい。エンジンの回転フィールも4気筒としては十分にスムーズだ。ちなみに0~100km/h加速は4.9秒と、もはやスポーツカー並みの速さを誇る。 試乗コースは郊外路が中心で、思い切ってコーナーリングを試すチャンスはなかったものの、ボディーの姿勢変化が小さいため、わずかにステアリングを切っただけでも素早く的確に反応するレスポンスのよさが感じられた。この辺は、いかにもBMWらしいところだ。 一方の120は、重厚な乗り心地のM135とはひと味違う軽快で快適性重視の設定。その割にコーナリング中のロール(ボディーの傾き)は小さく、ベースモデルだからといって侮れないハンドリングを披露する。この辺は、Mスポーツ仕様の試乗車がアダプティブMサスペンションを装備していたことと関係がありそうだ。 新たに48Vマイルドハイブリッド・システムを装備した3気筒1.5リッター・エンジンは、モーターのアシストを得て発進時から十分なトルクを生み出してくれるほか、高回転域でも3気筒の特徴的なバイブレーションやノイズを感じさせることなく、良好なパフォーマンスと快適性を両立させているように思えた。 個人的には、市街地走行からワインディングロードまで不満なくこなす120に好印象を抱いた。とりわけ、アダプティブMサスペンションがただ足回りを固めただけの仕様ではなく、1台のクルマとしてバランスよく仕上げられている点に感銘を受けた。 新型1シリーズは今年10月中にも日本国内でも発表される見通しだ。
文・大谷達也 編集・稲垣邦康(GQ)