【行正り香さんにきく〝50代。これからの住まい〟に思うこと〟①】人生の後半戦、納得のいく家づくりの第一歩は、自分の「好き」を見つめ直すこと
◆なぜ自分たちはそのテイストが好きなのか、分析を
こうしてお互いに納得できる一枚のビジュアルが見つかったなら、そこからどうやったら理想の空間にできるかを考える作業に移るそう。 「そこで必要な作業は、なぜ自分たちはそれを好きなのかを徹底的に分析していくこと。 ビジュアルを見ながら、『キーカラーはどんな色にしている?』『メインとなる建材はどんな素材を使っているのだろう?』などひもといていくことで、自分たちの住まいづくりに取り入れられる部分が見えてきます。 例えば、夫婦二人が納得した理想の住まいのビジュアルが全部茶色系に統一したものであるなら、茶色のグラデーションでインテリアを構成しようとか、色鮮やかな赤と緑をキーカラーにした空間であれば『うちもそうしてみよう』など。 そうやっていくことで、目指すゴールがだんだん見えてきます」
都内にある行正さんの自宅リビング都内にある行正さんの自宅リビング。インテリアは茶系のグラデーションでそろえ、緑(観葉植物と右側壁の絵画)と赤(奥の壁の絵画)が差し色になっている。 「自分たちの『好き(理想)』がわかりゴールが見えたら、今度は次のことを考えていきましょう。 模様替えするのかリノベーション(壁紙や床の張り替え、床間取りの変更など大がかりなもの)をするのか、模様替えの場合はインテリアコーディネーターさんに依頼するかどうか、リノベーションをするならフルリノベーション、部分リノベーションのどちらにするのか。リノベーションは建築家さんに依頼するのか、ハウスメーカーなどのパッケージリノベにするのか。 ほかにも考えなければいけないのが気力、体力、予算です。インテリアは建築関係の資料を探して読み込んで、それらの中から選び取っていくのに体力や気力が必要だからです。 またインテリアコーディネーターや建築家といったプロに依頼するなら、相応の予算も必要となってきます。 こうしたことを考えていくと、模様替えや家具の買い替えですむ話なのか、工務店や設計事務所に相談するようなリノベーションの必要があるのかが見えてきます」