【行正り香さんにきく〝50代。これからの住まい〟に思うこと〟①】人生の後半戦、納得のいく家づくりの第一歩は、自分の「好き」を見つめ直すこと
50代になると老後(人生の後半戦)を意識し始める人も多いのでは。老後を快適に暮らすには住まいについて見直すことが大切だ。料理家であり、北欧インテリアに造詣が深くインテリアコーディネーターや生活空間プロデューサーとしても活躍の行正り香さんに、50代に向けた心地よい家づくりのポイントを教えていただいた!
「はじめまして、行正り香です。 料理家として活動するほか、インテリア本を出版し、インテリアコーディネーターや生活空間プロデューサーとして家づくりから店舗の内装デザインなど、暮らしやすい生活空間を演出したり、理想の空間イメージを具体的な色や内装、家具、照明、ファブリックなどで具体的な形にするお手伝いをしています。 OurAge世代の皆さんは、だんだんお子さんも手が離れてくる年代ですね。子どもが小さいうちは、とにかく機能重視で家具などを選んでいたのではないでしょうか。 でも子どもが巣立ったあとの生活を少しずつ意識し始める40代後半や50代になってきたら、空間に彩りを加えていくこと、家族のためというより自分のための空間を考えていくといいと思います この年代はリフォームとか住み替えというと、『老後を見据えて、まずはバリアフリーにしたほうがいいのかな』と思う方も多いと思います。でも私はそれよりも、家を自分が心地よいと感じる空間にするにはどうしたらいいかを考えることをおすすめしています」 「家を暮らしやすくする」と考えると、その手段として頭に浮かぶのがリノベーション(リフォーム)だ。 「先ほどもお話に出たバリアフリーのような構造面のほかに、システムキッチンの入れ替えなど設備面で家の中を変えていくことを想像しますよね。 でも『暮らしやすくする』というより『心地よいと感じる空間にするにはどうしたらいいか』を考えてみたら、必要なことはバリアフリー化やシステムキッチンの入れ替えではないかもしれません。 “自分が大事にしている時間は何か” “家でどんなことを楽しみたいのか” ということをじっくり考えていけば、自分にとって心地よい空間とはどのようなものなのか、つまり理想が見えてきます。そういった住まいについての理想を突き詰めて、その理想をかなえる家につくっていくことが私にとってのリノベーションです。 『理想』を考えてみたら、必要なのは家具や照明を替えていくことで、バリアフリー化や大がかりな設備の入れ替えではなかったということもあるのです。 この連載では、そういったあなたにとって心地よい空間をつくるために大切なことを具体的にお伝えしていきたいと思います」