1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
1日中全開で走れ、完璧に近い快適さ
シトロエンCXは、1976年にCマティックと呼ばれるセミATを獲得。直列4気筒エンジンには、2.4Lも設定された。1977年5月になると、レーシングドライバーへ憧れた人へ訴求する、CX GTiが登場している。 【写真】独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 先代のDSと後継のXM 最新C5 Xも (126枚) これに積まれた2437ccユニットでは、従来のウェーバー・キャブレターではなく、ボッシュLジェトロニックと呼ばれた燃料噴射システムを採用。英国には、同年の9月に上陸している。 専用アイテムとして用意されたのは、アルミホイールとフォグライト。5速MTも組まれていた。早速試乗した当時のAUTOCARは、「1日中全開で走れます。それでいて、乗員を完璧に近い快適さで運べます」。と絶賛している。 今回のホワイトのCX 2400 GTiのオーナーは、ニール・オズボーン氏。「速くて快適。ドイツのベルリンまで1000km以上運転しても、その日に観光する体力が残っているようなクルマです」。と笑う。 彼がこのシトロエンを発見したのは、2016年。グレートブリテン島の南東部、ノーフォークの納屋へ19年間も放置された状態だった。悲惨な状態へくじけず、レストアを完遂させている。 「まさに、自分が探し求めていた1台でした。オプションのエアコンが付いていて、内装はレザーではなくクロス。サンルーフレスのGTiです」 現在、英国でナンバー登録されているCX GTiは8台のみ。「DSと比べると、プロポーションが現代的なので、目立ちすぎることはありません。誰もが古いクルマだと理解して、褒めてくれますね」
フランス大統領も乗せたCX プレステージ
このCX GTiと前後するように、1976年にはCX プレステージが追加されている。大企業の上層部や外交官、政府要人などをターゲットにした、最高級仕様だ。 当時のヴァレリー・ジスカール・デスタン・フランス大統領は、約250mm伸ばされたホイールベースを評価した。だが、頭上空間は足りないと付け加えたらしい。1977年式以降では、ルーフラインも約25mm高くなっている。 さらに、1985年にシリーズ2としてCXはフェイスリフト。プラスティック製バンパーを獲得したが、プレステージには相応しくないと考えるシトロエン・マニアもいるようだ。 シルバーにブラック・ルーフのツートーンで仕上げられた、CX プレステージ・ターボ2はクライヴ・ピュー氏がオーナー。新車時の価格は2万498ポンドで、ライバルに当たるローバー・スターリング 800より2000ポンドも高かった。 彼が購入したのは2年前。右ハンドル車は5台作られたが、現存はこの1台だけだ。 CX プレステージの魅力は、リアシートのブラインドや独立したラジオだけではない。長く高く拡大され、より堂々とした佇まいにあることだろう。ターボエンジンによる優れた動力性能も、当時の政治家から好まれた理由の1つになる。