「アボカド」腸に潤いを与え便を通す「潤腸通便」の働きで便秘を改善【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
最近、すっきり出なくてトイレに時間がかかる……。じつは年齢を重ねるごとに陥りやすくなるのが「便秘」です。若い女性に多いイメージがありますが、シニアの場合は男性にも多く、大きな悩みになりやすいのです。 私の便秘克服法お話しします(4)お腹をマッサージ…理想的な便がスルッと出る 便秘にはさまざまな症状がありますが、シニアの場合は「弛緩性便秘」が多く見られます。大腸の蠕動運動が低下することで引き起こされる便秘です。大腸が便を送り出す働きが弱くなると便が腸内に長く留まり、水分が多く吸収されてしまい、便が固くなって出なくなります。 腸の蠕動運動には、筋肉の働きが必要です。加齢によって、筋力の低下や、蠕動運動に関わる自律神経がバランスを崩すと、便の動きが悪くなります。また、シニアの場合は運動不足による腹筋力の低下、食事量が少なくなるために便の量が減ることも加わり、便秘が加速してしまうのです。 便秘が慢性的に続くと、大腸がんや心血管疾患などのリスクが増加します。また、便秘が原因で食欲がなくなり、食事量が低下するとさらに便秘がひどくなるという悪循環に陥りかねません。たかが便秘と思わずに、食事を見直して改善を図りましょう。 薬膳でも、便秘は腸だけでなく全身のトラブルにつながると考えます。中医学において大腸は「肺」と呼ばれる臓器と関係が深いとしています。肺は呼吸器をつかさどり、人間のエネルギー源であるきれいな気を取り込み、体内の汚れた気を排出する働きがあります。 大腸のトラブルは、肺に影響を与えてその働きを弱めてしまいます。結果、気を全身に充実させることができなくなり、疲労や免疫力ダウン、花粉症などの不調や病気を引き起こしやすくなるのです。さらに肺は皮膚機能にも関係しています。肺機能が低下すれば肌荒れ、肌の乾燥につながってしまうのです。 便秘を改善するためには、薬膳において「潤腸通便(じゅんちょうつうべん)」と呼ばれる効能がある食材を取り入れることが大切です。 おすすめはアボカド。潤腸通便という言葉どおり、「腸に潤いを与え、便を通す」働きがあるのです。また、気を補い疲労回復にも効果的。胃の働きを調え消化吸収能力を高める働きもあります。アボカドの弛緩性便秘改善を高めるには、同じく潤腸通便効果のあるハチミツ、黒ごまを組み合わせるとよいでしょう。 また、大気が乾燥する秋は、肺が乾燥しやすくなります。ひいては大腸にその影響が及び、大腸も乾燥して便秘が悪化しやすい季節です。この時期の便秘対策には、肺に潤いを与えるナガイモやピーナツなどもプラスするのがおすすめです。 ■アボカド高齢薬膳レシピ アボカドとナガイモのハニーしょうゆやっこ 潤腸通便効果の高い、アボカド、ハチミツと、肺に潤いを与える豆腐、ピーナツを組み合わせたレシピ。ちょっと意外かもしれませんが、ハチミツ入りのタレで豆腐がモッツァレラチーズ風になり、アボカドとしっくりなじみます。 【材料】2人分 ●アボカド 1個 ●ナガイモ 6cm ●ピーナツ 大さじ2 ●豆腐 1丁 ●A(しょうゆ・オリーブオイル=各大さじ2、ハチミツ=小さじ2、粒マスタード=小さじ2) ●レモン汁 少々 ●クコの実 適量 【作り方】 アボカドは1センチ角程度に切ってレモン汁少々をふり、ナガイモは皮をむいて5mm角に切り、水切りした豆腐にのせる。混ぜ合わせたAをかけて、粗く刻んだピーナツとクコの実を散らす。