これじゃあ暮らしていけない…夫婦の年金月30万円で〈余裕の老後〉が一転。夫の死後に知る〈遺族年金額〉に絶望も、遺品整理で見つけた古いアルバムに挟まれた「真新しい封筒」の中身に66歳妻、再び号泣【CFPが解説】
遺族年金は支給停止の対象になる場合も
年金事務所の担当者が佳子さんに説明をし始めます。 彰さんが死亡した場合、65歳以降の妻への遺族厚生年金は「夫の老齢厚生年金の3/4」(ア)あるいは「夫の厚生年金の1/2と妻自身の老齢厚生年金の1/2の合計」(イ)、いずれか高いほうの金額で計算されます。 今回のケースでは、佳子さんの老齢厚生年金は95万円のため、以下のように計算されます。 (ア)105万円×4分の3=78万7,500円 (イ)52万5,000円(105万円÷2)+47万5,000円(95万円÷2)=100万円 (ア)と(イ)では、(イ)のほうが大きいため、佳子さんの遺族厚生年金は100万円となります。 しかし、この遺族厚生年金100万円から、佳子さんが受け取っている厚生年金額を差し引く仕組みがあります。美帆さんは遺族厚生年金100万円を受け取れるものの、自身の老齢厚生年金部分の95万円は支給停止となるのです。 結果として、佳子さんが実際に受け取れる年金額は、佳子さんの老齢基礎年金80万円+老齢厚生年金95万円+遺族厚生年金(100万円-95万円)=合計180万円となります。月に換算すると15万円となり、これまで毎月30万円だった年金が、彰さんが亡くなった後は半分まで減ってしまいます。 これまでの安定した生活が、突如として揺らぎ始めるのを感じ、佳子さんは頭が真っ白になりました。
遺品整理で見つかったエンディングノート
絶望的な精神状態のなか、佳子さんは遺品整理を進めていると、夫の部屋の押し入れから古い写真アルバムが出てきました。アルバムを開くと夫婦2人でいった新婚旅行の写真や家族写真など、これまでの思い出の写真が目に映ります。それらの写真を見るうちに、彰さんとともに過ごした幸せな時間が鮮明に蘇り、佳子さんは涙をこらえきれなくなりました。 そしてしばらくアルバムをめくっていくと、一封の封筒が落ちます。佳子さんは拾い上げて、まだ真新しい封筒の中身をみてみると、作成中のエンディングノートでした。彰さんは亡くなる数ヵ月前からエンディングノートの書き始めており、完成したら佳子さんにその存在を伝えるつもりだったのです。 エンディングノートには彰さんの名前や生年月日、マイナンバーなど基本的な情報から、親友や知り合いの連絡先などが記載されています。さらに読み進めていくと、財産の詳細が記載されていました。 なんとそこには、生命保険の詳細も記載されており、彰さんは800万円の生命保険に加入していたのです。受取人は佳子さんで、保険証券の保管先も明記されています。 どうやら彰さんは、子育てが落ち着き、経済的に余裕が出たタイミングから終身保険に加入し、毎月4万円を積み立てていたのです。佳子さんは彰さんが終身型の生命保険に加入していたことへの驚きと、同時にこの保険金によって少し余裕を持って生活ができるという安堵の表情を浮かべました。 そして、さらにノートをめくると、佳子さんへの感謝の気持ちが綴られていました。 「佳子さんへ いつも家族のために尽くしてくれて本当にありがとう。ぼくたちの日々がどれほど幸せであったか、言葉にするのが難しいほどです。佳子さんと過ごした時間、家族として共有した喜びは、私の生涯の宝物です。これから先の人生で、ぼくがそばにいることは叶わないけれど、このノートが佳子さんの支えになれば幸いです。どんなときも、佳子さんが笑顔でいられるよう願っています。」 と夫からの最後のラブレターです。 佳子さんは泣き崩れ、「彰さん、こちらこそありがとう。あなたとの日々は私の一生の宝物よ」と心の中で呼びかけました。その手紙は、佳子さんがこれからの日々を生きていくうえでの大きな支えとなりました。 その後、佳子さんは受け取った生命保険を少しずつ取り崩しながら、残りの老後生活を無事に過ごすことができています。
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