【2024年度2.7%増額の公的年金】実質目減り、値上げラッシュで厳しい状況が続く
2024年に入ってからも、食品や生活用品の値上げが続いています。4月からは新たに2806品目の食品が値上げされています。家計費のやりくりに四苦八苦しているご家庭も多いことでしょう。 【写真2枚】2024年度増額改定分「厚生年金・国民年金」年金額の例 2024年度は公的年金額が2.7%増額され、受給額が上がります。物価高による家計の負担が軽減されることが期待されますが、実際には目減りしているといわれています。 この記事では、2024年度の年金額の増額について詳しく解説していくとともに、現役世代に取り組んでいただきたい老後資金の準備法を紹介していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
2024年4月は2806品目の値上げ
帝国データバンクの「食品主要195社 価格改定動向調査」によると、2024年4月に値上げされる食品は2806品目になり、年間ではすでに6000品目を突破しているほどの勢いです。人件費や物流費の増加のほか、天候不順や円安などの影響が大きく関係していると考えられています。 1年前の2023年4月に値上げされた品目は5100品目だったので、今年の4月と比較すると2000品目ほど減少しています。しかし、先月は728品目にとどまっていたため、今月に入って一気に2000品目以上の値上げになっている状況です。 今後も引き続き物価上昇の傾向が続くことが予想され、2024年度の厚生年金・国民年金は2.7%の増額となっています。しかし、増額されても生活に余裕ができたとは言えないのが実情です。その理由については後ほど解説します。
厚生年金・国民年金は2.7%増額
厚生労働省は2024年1月29日に、2024年度(令和6年度)の公的年金額を2023年度(令和5年度)よりも2.7%引き上げることを公表しました。これにより、2024年度の厚生年金・国民年金額は以下の通り増額されます。 ※1 昭和31年4月1日以前生まれの方は、月額6万7808円(前年度比+1,758円) ※2 平均的な収入(平均標準報酬43.9万円)で40年間就業した場合に受給できる年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準 自営業や個人事業主の方などが受給する国民年金は、満額で月額6万8000円となり、2023年度と比較して1750円の増額です。この金額は保険料を40年間(480月)納めた場合のもので、未納月がある場合は月数に応じて減額されます。 一方、厚生年金は平均的な収入で40年間就業した場合の、夫婦2人分の標準的な受給額となっており、2人分の国民年金と夫(妻)の厚生年金の合計額です。2024年度は23万483円で2023年度よりも6001円増額されています。 年額に換算すると、国民年金は2万1000円の増額、厚生年金は約7万2000円の増額になるため、物価上昇に対応できるのではないかと思われます。しかし、「マクロ経済スライド」が発動されたため、実質的には目減りしている状況です。 ●マクロ経済スライド発動で実質的に目減り マクロ経済スライドとは、現役世代の保険料納付負担を極端に増大させないために、賃金や物価による改定率を調整することで、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。 具体的には、現役の被保険者の減少率と平均余命の伸び率(0.3%程度)を合計した「スライド調整率」を、賃金や物価の改定率から差し引いて年金額を改定します。 2024年の物価変動率は3.2%、名目手取り賃金変動率は3.1%で、マクロ経済スライドによるスライド調整率は▲0.4%です。より数値の小さい名目手取り賃金変動率3.1%からスライド調整率の0.4%を差し引いて、年金額は2.7%の増額と算出されました。 物価上昇率が3.2%なのに対し、年金額の増額率が2.7%なので、増額されても値上げ率に追い付けず、引き続き値上げラッシュの影響を受けることになります。