5年連続トップ!さいたま市の英語力 伝説の教育長が説く、子どもに「世界基準の英語力」を身につけさせる具体的方法
小中の接続をスムーズに、文法にこだわり過ぎない
細田氏は「小5から中1の3年間をひとかたまりにするのが重要です」と説く。 「小学校までは英語は楽しいものだったのに、中学になると、文法を重視した教え方で嫌いになってしまう生徒が多いのです。これは非常にもったいない。保護者が『文法はちゃんと分かっているの』『入試もあるのよ』と追いつめるような言葉がけをすると、途端に嫌いになってしまいます。ここが我慢のしどころです。英語はあくまでもコミュニケーションの手段と常に意識して、知的好奇心を満たす内容にすることが大事です」 ドラマ(英語劇)コンテストや、2泊3日英語漬けになるイングリッシュキャンプなどがそうした例だ。 中2・3の第III期は、ALT(外国人講師)を始め、様々な外国人と交流する体験を積み重ね、国際感覚を持って堂々とコミュニケーションできる能力を養う。クラス内でのディスカッションやディベートから始めて、英語スピーチコンテストやディベート大会、模擬国連大会に挑戦していく。これらを通して、論理的思考力を身に付け、グローバル社会の中で主体的に行動し、社会に貢献できる力を育む。 「中学では文法や単語を優先するのではなく、音読やシャドーイングを楽しみながらやるのがコツです。ゲーム感覚にすると抜群に効果を発揮します。GSではインプット量が多いので、母語のように自然に文法が定着します。『三単現のS』と説明しなくても、自然と『He plays the guitar.』と言えている。後になって整理すると、『そういうことだったのか』と理解でき、より強固になるのです」 さらに細田氏は、「大学入試でも、文法を細かく聞く問題はほとんどありません。共通テストでも、長文を読ませて、理解する力、アウトプットする力をみています。だから、文法を細かくやり過ぎても意味はないのです」と説明する。
GSの教育を受けてきた生徒は「純ジャパ」でも高2で英検1級
こうしたGSの教育を受けた生徒が、高校以降も英語力をどんどん伸ばしている。さいたま市立の高校は、全部で4校あり、GSを発展させた英語教育で、まさに世界基準の英語力を身に付けているという。 市立浦和高校では、全国高校生英語ディベート大会において、6回の全国優勝を果たしている。 また、細田氏の肝いりで設立された、公立中高一貫校の大宮国際中等教育学校では、国際バカロレアのカリキュラムを導入し、1期生が今年高3になった。 「ある生徒は帰国生でもなく留学経験もない『純ジャパ(純ジャパニーズの略)』ですが、高2で英検1級に合格しました。東大から海外の大学院に進学することを目指しているそうです。こうした生徒が特別ではないのです」