テレビの〝いい加減さ〟に魅せられた 2回パクられた「危険なディレクター」に 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<12>
当然、希望退職が募られ、多くの社員が退職してゆきましたが、幸いなことに僕は、残ることができました。
ただし、少ない番組制作予算と安い給料という条件は変わらない。僕は報道部のディレクターとして、いかに、刺激的で面白いドキュメンタリーをつくるか、を懸命に考え、番組制作につき進むことになります。ギリギリを攻めて、犯罪以外なら何でもやる。「塀の中(刑務所)」には落ちないという〝危険なディレクター〟です。いやいや実際には、犯罪めいたこともやったかな。僕は2回パクられて(逮捕)ますからねぇ。
上の連中(局の幹部)が止めないのかって? 止めるわけありませんよ。このテレビ局は、そうした番組をつくらないと生き残れないことが分かっているので(苦笑)。
《今の時代じゃBPO(放送倫理・番組向上機構)に叱られそうなハチャメチャな番組が立て続けに誕生する》(聞き手 喜多由浩)
【関連記事】
- 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<11>新聞・テレビの就職に軒並み失敗 就職先は「左翼の巣窟」、でも仕事のほとんどは企業のPR映画
- 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<10>作家を目指し早稲田大へ入ったが…会うのが怖かった大江健三郎さん
- 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<9>「偉い人」の言うことは信用できない 正邪じゃなく損得で動く、きっちり見極めてやる
- 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<8>「軍国少年」が大泣きした終戦の日 なぜ? 「憧れの海兵」に行けなくなったから
- 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<1>引退するつもりはサラサラない 「老害」批判は当然 ネット炎上ありがたいこと