“光る君へロス”の人も…NHK新大河ドラマ『べらぼう』が『光る君へ』を超えて刺さるワケ 「異色ビジネスドラマ」にハマる人、続出!?
蔦重が見いだした才能は、喜多川歌麿・山東京伝、葛飾北斎、曲亭馬琴、十返舎一九といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠となり日本文化の礎となっていく。 しかし時世は移り変わり、田沼意次は失脚。代わりに台頭した松平定信による寛政の改革では、蔦重の自由さと政治風刺が問題になり、財産の半分を没収される処罰を受ける。周囲では江戸追放や死に追いやられるものもあらわれる……。蔦重は、その後も幕府からの執拗な弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で戦い続ける。そんな中、蔦重の体を病魔が襲う。
命の限りが迫る中、蔦重は決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽」を仕掛けるのだった……。 ■令和の“いま”に通じるビジネスドラマ 脚本を担う森下佳子さんが制作統括・藤並英樹さんから企画を持ちかけられたとき、「合戦もない、もちろん天下も取らないし、非業の死を遂げるわけでもない、畳の上で、脚気で死ぬ本屋のおっちゃんの人生」が選ばれたことに驚いたそうです。 「光る君へ」の主人公・紫式部が作家・歌人なら、「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎は版元(出版社)であり出版プロデューサー。知る人ぞ知る人物であり、歴史の真ん中にいるわけではありません。しかも活躍のジャンルは政治・統治ではなく文化・教養であり、「NHKは2作連続で異色の物語を選んだ」と言っていいでしょう。
前述した主なあらすじを見ると、当作が通称“蔦重”の一代記であるだけでなく、ビジネスドラマの要素が濃いことに気づかされます。 蔦重は吉原の案内係を務めるかたわら貸本屋を行い、さらに吉原を変えるべく出版業に進出。女郎たちを救うために当時のガイドブックやファッションカタログを企画するほか、若き才能を見出してプロデュースしていく。さらに、権力者の圧力によって苦境に陥りながらも、世の中に面白いものを送り出そうと奮闘する……。