「スマホを退屈にするアプリ」を投入したハイネケンが考える新時代のコミュニケーションとは
さて「The Boring」の名前をつけた製品の将来展開について、須田氏は「今後も開発するかもしれないが、それがスマートフォンになるのか、あるいは全く新しいデバイスやアプリになるかは現時点では未定」とのこと。デジタル技術の進化は1年や2年といった短期のスパンで動向を判断するものでもなく、長いスパンで見ていく必要があります。ハイネケンの生み出した製品がどのように受け入れられるのか、製品ごとにそのフィードバックを受けながら次の開発に結び付けていきたいとのことです。 ハイネケンはビールの製造販売を主力とした企業です。しかしビールを販売し販売数を伸ばすことだけを考えてはいません。ビールや飲料を通して人々がコミュニケーションする時間を提供し、そしてコミュニケーションの大切さを提案する、そんな企業を目指していると須田氏は言います。
友人たちとのお酒の場だけではなく、カフェでお茶をするとき、美術館や映画館に一緒に行く時、あるいは天気のいい日に公園でお弁当を広げて食べるときなど、The Boring Modeを起動することでより会話もはずむはずです。スマートフォンであらゆる世界がつながる時代だからこそ、ハイネケンの考える人と人とのつながりは、今後より再認識されるものになるでしょう。
■ 山根康宏 やまね やすひろ 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1,800台に達する。 公式サイト:http://www.hkyamane.com/
山根康宏