着信番号に「+」が付いていたら要注意! 身に覚えのない国際電話がかかってきたら詐欺の可能性“大”
先日、筆者個人の電話に「+1(844)XXX-XXXX」という電話番号から電話がかかってきました。電話に出ると自動音声ガイダンスが流れ、ウェブサービスの未納料金があるので至急、電子マネーで支払うように言われました。もちろん、架空請求詐欺です。他の日にかかってきたときには、中国語の自動音声ガイダンスでまくしたてられました。内容は理解できませんでしたが、詐欺でしょう。 【画像】国番号別 着信件数ランキング(画像は「トビラシステムズ 特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート(2024年9月)」より) スマートフォン向けの迷惑電話フィルタアプリを開発するトビラシステムズ株式会社は10月30日、「特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート(2024年9月)」を公開しました。トビラシステムズの迷惑電話番号データベースに登録された番号の種別割合は、国際電話番号が60.6%を占めています。従来は、通話料の安いIP電話が使われていたのですが、2024年4月から契約時の本人確認義務の対象となったため、国際電話の利用が増えているのです。 2024年9月に着信件数が最も多かった国際電話の国番号はアメリカ(北米地域)の「+1」で、6割を占めました。次いで、トルコ(+90)、イギリス(+44)、ルーマニア(+40)、オーストリア(+43)となっています。筆者の電話には以前、フィリピン(+63)から架空請求詐欺の詐欺電話がかかってきたこともあります。 調査によると、発信元の国番号ごとに主な手口が異なるそうです。アメリカは架空請求詐欺や国際ワン切り詐欺、中国語の自動音声ガイダンスとバリエーションがあります。 国際ワン切り詐欺とは、国際電話で1コールだけ電話をかけ、着信履歴から折り返させる手口です。ターゲットが折り返しで国際通話を行うと、高額な国際電話料金が発生し、犯罪グループは電話会社からキックバックを得られる仕組みになっています。そのうえで架空請求詐欺も成功すればその収益も得られるという二重取り、ターゲットからすれば高額な国際電話料金と架空詐欺被害で二重に損をする仕組みなのです。 中国語の自動音声ガイダンスは、日本に住んでいる中国人をターゲットにしており、公安や警察、大使館を名乗り、金銭をだまし取ります。在留資格に問題があるとか、あなた名義の携帯電話が犯罪に使われているとか、逮捕状が出ているなどと言ってくるのです。実際に被害者も多数出ており、中には2000万円以上も送金してしまったケースもあります。 イギリスの電話番号も架空請求詐欺、国際ワン切り詐欺、還付金詐欺、オレオレ詐欺といろいろな詐欺に使われています。トルコの番号は架空請求詐欺、ルーマニアは官公庁をかたる自動音声ガイダンス、オーストリアは投資関連の詐欺が多いそうです。 また、末尾が「0110」の国際電話番号を使ったオレオレ詐欺も発生しています。電話番号の最後が「110」だから、警察だと思い込んでしまう可能性があるので注意が必要です。中には、国番号を除いた部分が実在する警察署の同じ電話番号になっていることもあるそうです。 同様に、国番号を除いた部分が、総務省の実在する電話番号と同じになっているケースもあり、総務省を名乗ったうえに、「この電話は2時間後に使えなくなります。担当者につなぐ場合は○番を押すと……」といったガイダンスが流れます。もしつないでしまうと、詐欺師が出て、架空請求詐欺などを仕掛けてきます。 これらの詐欺に引っかからないために、きちんとしたネットリテラシーを身に付けましょう。まず、国際電話番号を使った架空請求詐欺やワン切り詐欺という手口があるということを知りましょう。それだけで、金銭的な被害を回避できる可能性が高まります。 次に、見知らぬ国際電話には出ない、折り返さない、と心しておきましょう。国際電話を使わないなら、そもそも国際電話が着信しないように設定しておくことをお勧めします。ただし、格安SIMなどの場合、国際電話の着信を拒否できないこともありますが、これはなる早で対応して欲しいところです。 また、コンビニで電子マネーを購入してその番号を教える、というのは典型的なネット詐欺の手口です。電子マネーを買ってくるように言われた時点で、詐欺だと疑ってください。 基本的には、詐欺電話がかかってきたら即電話を切って、無視するのが正解です。詐欺かどうか判断に迷ったなら、消費者ホットライン「188」番や警察相談専用電話「#9110」番に相談しましょう。 NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構) 高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。 ※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください 参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと
INTERNET Watch,DLIS・柳谷 智宣