「スマホを退屈にするアプリ」を投入したハイネケンが考える新時代のコミュニケーションとは
ハイネケンはなぜThe Boring ModeアプリやThe Boring Phoneを開発したのでしょうか。ハイネケン・ジャパンのマーケティングディレクター、須田伸氏に話を伺ったところ、まずどちらの製品も「アンチ・テクノロジー」を目指したものはないとのこと。ハイネケンはむしろデジタルがもたらすコミュニケーションの進化に常に注目している企業だといいます。積極的にデジタル製品を活用する動きの中に、人と人とのつながりをどのように関係づけていくのか、それを考えアプリやケータイを開発したとのことです。
そのためアプリやケータイでハイネケンというブランド価値を高めるというフックをかけたり、あるいはアプリを普及させダウンロード数を増やしたい、という考えも無いとのこと。そのような展開は今の時代、新しさを感じさせないものだと言います。人々がデジタル製品を日々使う中で、その付き合い方に新たな提言を行うことが面白いのではないか、そう考えてThe Boring ModeやThe Boring Phoneは開発されたのです。 たとえば撮影が禁止されていないコンサートなどで、スマートフォンを使って一生懸命ステージを録画をしている人もいます。しかしコンサートが終わって帰宅後に、それを見返すことの無い人も多いと言います。コンサートに集中するのではなく「コンサートを録画すること」に集中してしまっているわけです。お酒の場でも同様に、仲間で集まり楽しい時間を過ごすはずが、スマートフォンがあるだけで他のことに集中してしまうことがあります。The Boring Modeを起動すればデジタルライフのONとOFFを明確にしてくれる効果もあるわけです。
なおThe Boring Phoneはヨーロッパを中心とした海外市場で展開、日本への導入は行われていません。一方、The Boring Modeは日本を含む世界各国で公開が始まっており、ヨーロッパやブラジル、メキシコなどでダウンロードが可能(2024年10月時点)。今後各国に広げていく予定です。The Boring Modeを起動して見せるだけでもちょっとした話題になるでしょうから、少しでも興味を持った人はインストールしてみてはいかがでしょうか。