池松壮亮“津野”、スマホ着信で嗚咽から慟哭へ「心揺さぶられる名シーン」の声<海のはじまり>
Snow Man・目黒蓮が主演を務める月9ドラマ「海のはじまり」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系/FOD・TVerにて配信) 。8月12日放送の第7話は、津野を演じる池松壮亮に大きな反響があった。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】海(泉谷星奈)に絵本を読んであげる夏(目黒蓮) ■2022年のドラマ「silent」チームが再集結して描く親子の物語 同ドラマは、目黒が出演し、社会現象とも呼ばれた2022年10月期のドラマ「silent」(フジテレビ系)の脚本・生方美久氏、風間太樹監督、村瀬健プロデューサーが集結して制作。“親子の愛”をテーマに、人と人との間に生まれる愛と、家族の物語を描く完全オリジナル作品だ。 印刷会社に勤務し、大学のときに別れた恋人の死をきっかけに自分の娘の存在を知る主人公・月岡夏を目黒、夏と付き合って3年になる化粧品メーカー勤務の百瀬弥生を有村架純、夏の娘・海を泉谷星奈、夏の大学時代の恋人で病のために亡くなった南雲水季を古川琴音、水季が働いていた図書館の同僚・津野晴明を池松壮亮、水季の母・朱音を大竹しのぶが演じる。 ■電話シーンで見せた池松壮亮の圧巻の演技 夏と別れて、海を生み、1人で育てる決意をした水季。すべては夏が知らないこと。その約7年の間に水季を支えていたのが津野だ。第7話では、夏たちが水季の納骨に向き合うまでの時間軸と共に、水季と津野の関わりが描かれた。 水季に代わって保育所に迎えに行ったり、水季の仕事中に遊んであげたり。朱音にもあまり頼っていなかった中で、付き合ってはいなかったが津野は近い存在だった。やがて水季の病気が発覚したときも。病の状態もあったが、最低限の治療のみで「海と一緒にいる時間がちょっとでも増える方がいい」という水季に津野は寄り添ってきた。 そして“そのとき”がくる。自転車で出勤してきた津野のポケットの中のスマホに着信が。すでに何かを悟ったかのような津野の表情だ。スマホを取り出すと、画面には朱音の名前があった。呼吸が早くなる津野。それでもなんとか落ち着かせて電話に出る。みるみるうちに泣き顔になり、嗚咽、そして慟哭へ。 BGMとしてセミの鳴き声が聞こえる中、電話に出たときの「はい」以降、津野のせりふはなかった。なのに、観る者には何が起きたかが分かりすぎるほどだった。 SNSには「心揺さぶられる名シーン」「せりふがなくても分かるってすごかった」「池松さんの演技が凄すぎて号泣」「こんなに人の気持ちをひきつける演技 感動をありがとう」「池松さんの演技に圧倒された」など、池松への称賛が続々と寄せられた。 村瀬プロデューサーは第7話放送前に自身のXに「僕がどうしてもこの役を池松壮亮さんにお願いしたかった理由を感じていただけると思います」とつづっていた。まさにその通りのキャスティングの妙だ。 ■津野の過去のせりふが改めて胸に刺さる 前回の第6話で、水季のことを知りたいという夏に対して「僕の方が悲しい自信がある」と言った津野。 本話で、海を自宅であずかったとき、偶然、夏が書いた人工妊娠中絶の同意書を見てしまい、詮索しないというスタンスできたが、養育費などを求めたほうがいいのではと水季に言ってしまう場面があった。水季がその選択をしなかったのだが、1人で子育てする大変さを間近で見て、支えてきたという自負もあって出た言葉だったのだろう。 また、第3話では弥生に「自分は“外野”なんだって自覚しますよね」と言っていた。 水季の葬式後、アパートで荷物を片付けている朱音に津野は「手伝います」と申し出たが、「触らないで。家族でやるんで、大丈夫です」と言われてしまった。冒頭で朱音が「いっぱいいっぱいでないがしろにして、申し訳なかったとも思ってるの。こっちは落ち着いてきたからそう思えてるけど」とその当時の状態を打ち明けていたが、近くにいたつもりが突然突っぱねられる悲しみがあったはずだ。 これまで夏や弥生に対してチクリチクリと言ってしまっていた津野。不器用さもあるだろうが、7年間を知らないのに本当の家族である夏や、家族になりたいと思っている弥生に対して、自分はもう近くにいられないんだという思いや寂しさを抱えている、そんなことが想起される第7話だった。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部