調査で見えたIoT製品の市場投入時間「超長期化」、それでも「有益」と言えるワケ
2024年、OEMによるIoTコネクテッド製品の市場投入までの時間は、平均41カ月となり、2020年から4年間で80%増加しました。こうした市場投入までの時間の増加はエンドユーザーにどのような影響をもたらすのでしょうか。この記事では、ドイツの市場調査会社IoTアナリティクス社の市場調査レポート「IoTの商業化&ビジネスモデル導入:2024年」から、IoT製品が市場投入されるまでの時間が急増した要因について詳述し、IoT製品の展開を計画しているOEMが考えるべきポイントについて紹介します。 【詳細な図や写真】コネクテッド製品の買い手にとって、障壁となるものとは
IoT製品の市場投入時間、23カ月から41カ月に長期化
1ページ目を1分でまとめた動画 IoTアナリティクス社の「IoTの商業化&ビジネスモデル導入:2024年」の中で、OEM(注1)の上級幹部および部門リーダー100人を対象に実施した調査によると、プロジェクトのキックオフからコンセプトの実証までに平均18.5カ月を要しました。 注1:OEM:Original Equipment Manufacturingまたは Original Equipment Manufacturerの略語で、委託者のブランドで製品を製造すること、または製造するメーカーのこと。 その時間の大部分は、ビジネスケースの開発と利害関係者との調整時間です。その後、コンセプト実証から最初の有料顧客獲得までは22.8カ月を要しました。これらを合計した41カ月という市場投入までの時間は、2020年の平均市場投入時間の23カ月から80%増加したことになります。 こうした市場投入までの時間の増加は、一見、IoTイニシアチブの成功にとっては問題であり、多くの人にとっては直感に反する事態でしょう。なぜなら、IoT技術を取り巻く環境は、以下のようにポジティブな状況だからです。 ・急速な技術革新:IoT技術の急速な進歩は、技術開発と展開の迅速化を示唆しています。ツールやハードウェアが改善されれば、プロジェクトのキックオフから市場投入までの時間が短縮されると考えるのが妥当です。 ・市場知識の増加:より多くの業界専門家や消費者がIoTに精通することで、認知度が高まり、理論的にはプロジェクト・サイクルの短縮化と市場導入の迅速化につながるはずです。 ・過去の経験曲線:過去の技術動向に基づけば、成熟しつつあるIoT分野は以前の経験から恩恵を受け、より効率的なプロセスによって市場投入までの時間短縮ができると予想されます。 では、なぜ4年間で、これほど急激に時間がかかるようになってしまったのでしょうか?