調査で見えたIoT製品の市場投入時間「超長期化」、それでも「有益」と言えるワケ
要因3:セキュリティの厳格化
頻発するセキュリティ侵害が対策の厳格化につながり、IoTの開発スケジュールが延長されました。2021年のVerkadaカメラ映像流出事件や2019年のRingカメラハック事件など、コネクテッド・デバイスを巻き込んだ大規模なセキュリティ侵害事件が発生したことで、IoTセキュリティの重要性に対する認識が高まっています。 その結果、企業はより厳格なセキュリティ対策を実施し、開発プロセス全体を通じてより徹底したセキュリティテストを実施しています。 「IoTコネクテッド製品を実装する際に直面した大きな課題は、当社が顧客に約束するITセキュリティ基準と、当社が契約したベンダーの提供するセキュリティを整合させることでした。ベンダーに当社のセキュリティ基準を満たしてもらうには、長いプロセスが必要でした」 ──北米自動車メーカー シニア・マネージャー
要因4:より高度なユースケース
高度なIoTユースケースには、より多くの研究開発が必要となり、開発時間が長くなります。 企業は、シンプルなダッシュボードやリモート・モニタリングといった基本的な機能を超えて、コネクテッドIoT製品のより複雑で差別化されたユースケースを模索しています。特定のワークフローの最適化やユニークな顧客体験の提供など、高度なユースケースには、単純なアプリケーションよりも綿密な研究、開発、テストを必要とします。 業界にとってはプラスなことですが、このようなイノベーションと市場差別化の追求は、意図せず開発時間の長期化につながる可能性があります。 8つのユースケースは、顧客にとって極めて重要、または価値が高いと判断されたものです。調査の一環として、OEMは17の異なるユースケースの重要性を回答するよう求められました。すると、平均的なOEMは、8つ以上のユースケースが顧客にとって「重要」または「非常に重要」と評価しました。 このことから、OEMは複数のユースケースに対応するコネクテッド製品の開発に必要性を感じていることがわかります。なお、重要なユースケースのトップは「遠隔サービス」と「状態監視」となりました。