調査で見えたIoT製品の市場投入時間「超長期化」、それでも「有益」と言えるワケ
要因1:プロジェクトの複雑さ
IoTプロジェクトの複雑さは、高度なテクノロジーの統合により開発サイクルの長期化につながっています。たとえば、追加センサー、ローカルデータ処理、高度なネットワークアーキテクチャー、レガシーシステムとの統合などの機能はすべて、コネクテッド製品の開発プロセスを複雑化します。 数年前までOEMの多くは、機器のさまざまなデータポイントのうち、ほんの一部を基本的なダッシュボード機能を使って、間隔をあけて測定していました。 しかし現在では、より多くのセンサー値を秒単位、あるいはミリ秒単位で測定し、その上で多くの高度なアプリケーションを追加していることがよくあります(場合によってはAIの統合も予定されています)。 このような複雑さにより、機能性を確保し、潜在的な問題を回避するためには、長時間にわたる開発サイクルと大規模なプロジェクトチームが必要となるのです。 上記によると、「コネクテッド製品の買い手にとって、障壁となるものランキング」では、「使い方の複雑さ」が上位に入っています。2023年には「使い方の複雑さ」は2つ順位を上げて4位、「レガシーシステムとの統合」は1つ順位を上げて2位でした。
要因2:規制のハードル
最近の規制により、メーカーはコンプライアンスに時間とリソースを割く必要に迫られています。国や地域では、プライバシー、セキュリティ、持続可能性、透明性の重視を継続的に推進してきました。 そしてここ数年では、主に欧州連合(EU)がけん引して多くの規制イニシアチブが可決されたため、企業はこれらの規制の発効(2024年にすでに発効したものもあれば、2025年以降に発効するものもある)に合わせて、コンプライアンスのために製品および実務の更新に取り組んでいます。 こうした規制の発効を受け、 欧州におけるOEMは、「プライバシーとセキュリティに関する法律が、コネクテッド製品のソリューションを最大限に活用する当社の能力を制限している」という記述に同意する割合が71%と最も高く(2020年から14ポイント上昇)、2020年よりも現在の方が、同法により制約を受けていると感じていることがわかります。