問題を抱えた子どもたちが犠牲に。「プロブレム・ティーン産業」の闇
多くの元参加者がPTSDの症状や、家族の問題を訴えている
帰宅後、メーターは強制送還を恐れ“治癒”したふりをした。そしてニューハンプシャー大学に心理学専攻として入学して初めて、自分が耐えてきたことが間違っていたことに気づいたという。メーターはプロブレム・ティーン産業について調査研究を行うことを決意し、最終的には大学を通じてそれを発表した。研究によって、メーターの経験は例外ではなく、一般的なものであることが確認された。メーターは治療前に参加者が抱えていた苦痛がプログラムによって悪化したことを発見し、インタビューを受けたほぼ全員が自己同一性の完全な喪失を述べたという。「サバイバーたちと話をして、自分の経験が一般的であると判明して、驚き、そして深い感情的な確信を得ました」 さらに、メーターと両親との関係同様に、多くの参加者がPTSDの症状や、家族関係の緊張が続いていることを報告している。「両親との折り合いは悪く、今も悪いままです」とメーター。「私を追い出す前に、両親ができることがたくさんありました。子どもとしての私が求めていたことに真剣に取り組んでいれば、状況は大きく変わっていたでしょう」
子どものメンタルヘルスの治療は、保護者が関与しない限り、ほとんど効果がない
行動や感情に問題のある十代の若者を育てるのは、特にその子が自分や他人を傷つける危険がある場合には、容易なことではない。そして、助けになる治療計画を見つけることは、乗り越えられない課題のように感じられるだろう。上流階級の家族がターゲットにされるのは、こうした選択肢を取ることが可能であり、また、寄宿学校の文化があるため、子どもを遠くに送り出すという考えが珍しいものではないからだ。 しかし、データによるとメンタルヘルスの治療は、保護者が関与しない限り、ほとんど効果がない。「行動関連の問題で子どもを個別の療法に送りだしても、その子どもを支える共同体の大人が関与しなければ、あまり改善は見られません」と、「Child Mind Institute」のアンダーソンは言う。「親も解決策の一部です。子どもが設定している目標を知り、家庭や学校でサポートできます」