新型Macに搭載された「M4チップ」「M4 Proチップ」の実力は? 実機をテストして分かったこと
極めて良好な「ワッパ」と「高い性能」を両立
正直に告白すると、M4ファミリー全体をテストするまでは、この新世代がここまで高性能だとは想像はしていなかった。iPad Proで初登場したこともあり、とりわけM4チップは「最新世代のApple Siliconを薄く軽量なタブレットに搭載すべく最適化されたSoC(System on a Chip)」だと考えていた。少し言い方を変えれば、電力効率(いわゆる「ワッパ」)の高さに大きくベットしたファミリーなのだと想定していた。 しかし、それはM4ファミリーの特徴の“ある一面”を切り取っていただけのようだ。Mac miniやMacBook Proといった冷却性能や供給電力に余裕のあるプラットフォームでは、極めて高いパフォーマンスを発揮できる性能面でのスケーラビリティーを確保していたのだ。 もちろん、そもそもの話でいえば、Apple Siliconは高いワッパを売り物としてきた。M1チップ搭載のMacが初めて登場した際は、業界に衝撃が走ったと表現しても大げさではないだろう。 その特徴はその後のApple Siliconにも反映されてはいるが、M3ファミリーへのアップデートでは、少し方向性が変わっていたように見受けられた。業界内でもワッパが最も高い設計になっていることに変化はなかったものの、他社に追いつかれつつある印象もあったからだ。 絶対的な性能は予想の範囲内ではあったものの、消費電力や発熱の面では期待値を少し下回っていたように思う。 しかし、ベンチマークテストをしてみて感じたが、今回のM4ファミリーは再び元の立ち位置に戻ったと思う。テスト中に他のApple Siliconとの関係について触れたが、性能が大幅に向上し、より多くのコアが同時に動作するシーンが多くなったにも関わらず、M3ファミリーを搭載するMacと比べるとサーマルスロットリングを含む発熱にまつわる問題が緩和されている。 14コアM4 Proチップ搭載のMac miniと14インチMacBook Proでストレステストをすると、14インチMacBook Proの方が高周波方向の冷却ノイズが発生しやすいが、冒頭で触れた通り性能差はわずかだ。 別の視点で見れば、M4ファミリーは電力効率が向上した分を特にCPUコアの構成をアグレッシブにすることに回したとも考えられる。M3 ProチップはPコア最大6基+Eコア6基という12コア構成だったが、M4 ProチップではPコア最大10基+Eコア4基という“Pコア偏重”構成となった。パフォーマンスの向上は、Pコアの大幅増による面が大きい。 こうしたCPUコアの構成変更も、SoC全体の電力マネジメントがより優れたものになったからといえるのではないだろうか。M3 Proチップの登場時、「高い性能を求めるニーズはMaxチップに任せ、Proチップはもっとベースグレードに近いところを狙う」と方針転換すると思っていたのだが、M4ファミリーでは「Proチップは無印チップとMaxチップの中間」という位置付けに戻され、かつての上位バリエーションを脅かす存在になった。