新型プジョー リフター・ロングGTは、日本のミニバンとは違う魅力があった! アルファードやヴェルファイアとは異なる趣に迫る
一部改良を受けたプジョー「リフターGT」の、ロングバージョンに小川フミオが乗った。標準モデルである5人乗りとの違いはいかに? 【写真を見る】新型リフター・ロングGTの全貌(21枚)便利な7人乗り仕様の細部
欧州ならではの7人乗り
7人乗れる日本車で言うところの“ミニバン”、プジョーの新しいリフター・ロングGTに、2024年12月に試乗した。日本で8月に発表され、新しくなったフロントマスクなど好評だという。走りもよくて、“マルチパーパス”な出来映えだ。 本当は、3.0mの荷物まで積める荷室や、3列シートまで使っての移動など、このクルマの機能をめいっぱい試してみたかったが、それは次回に。ここでは、多くの人が使うであろう、市街地での1人あるいは2人乗り使用時の印象を綴る。 今回のマイナーチェンジ版も従来通り、標準ボディと、それよりホイールベースが190mm伸びて2975mmになり、全長が355mm伸びた4760mmになったロングボディとが同時に用意された。 標準ボディとの最大の違いは、5人乗りに対して7人乗りであること。3列目のシートは前方に倒せるし、荷物が多い時は取り外せる。このあたりの機能性は面白い。よく考えられている。 筆者が以前所有していたプジョー「308SW」にも同様のシートが備わっていたものの、リフター・ロングGTの3列目シートは前後スライド機構をもつ上、座り心地が良好で、しかも脚のやりばも考えられていて、大人でも乗っていられそうだ(経験者によるとけっこう快適に乗っていられるそう)。 エンジンは1498cc4気筒ディーゼル(最高出力96kW、最大トルク300Nm)一本で、8段オートマチック変速機が組み合わされた前輪駆動という点も共通。車重もロングでは70kg増えて1700kgとなるが、市街地と高速でのドライブでかったるさは感じられない。 ボディは先述のとおり、4760mmで、コンパクトではないものの、大きすぎると感じられる場面もなかった。ただし、荷物もそれなりに積むことが多く、かつ、取り外した3列目シートの置き場に困るという人には、標準モデルの方が使い勝手で優れる場面があるかもしれない。 燃費はリッターあたり18.1km(WLTCモード)と、標準ボディより0.1km低下しているだけ。広い範囲でたっぷりしたパワーを提供してくれるディーゼルユニットのキャラクターも好感がもてるし、この好燃費なら長距離も走れるし、まさにマルチパーパス。 サスペンションのスプリングやダンパーは、重くなっているし、より多い荷物を積む可能性もあることを考慮して、標準モデルより強化されたものが採用されている。でも、ひとりで乗っていても(トヨタ・ハイエースのように)ポンポン跳ねて閉口……ということはない。このあたりの設定も上手だ。 欧州ならではの実用性とは、荷物がたっぷり積めることに加え、確かなハンドリングと、快適な居住性(乗り心地や出来のよいシートなど)の総体なのだ。リフター・ロングGT(リフターGT標準モデルも含めて)はそのことをあらためて感じさせてくれるモデルだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)