“不倫”が原因で殺人事件も…“不倫”に陥る理由は『刺激と癒し』 “心理的視野狭窄”で妻子が障害に?「相手を殺せば…他の選択肢はない」
不倫をする原因は…“刺激”と“癒し”
犯罪心理に詳しい新潟青陵大学の碓井真史教授によると、不倫をする原因の一つが“刺激”であり、結婚した夫婦の多くは日常的な刺激がなくなるという。 「恋愛感情は常に一時的。『今あの子が好きで心臓がドキドキしちゃう』という刺激は、結婚すると、その相手といるのが当たり前になってしまい、全然刺激的ではなくなってしまう」 また、もう一つの原因として“癒し”を挙げている。 「結婚前は相手の話を聞ける。お互いに喜んだり、泣いたり、悔しがったり。だけど、結婚して時間が経つと、だんだん相手に関心を向けなくなる。『きょう会社でこういうことがあってさ』『やめてよ、私だって疲れているんだから』みたいな。そうすると、寂しさを感じて、それを癒してくれる相手を求める」 もちろん、全ての夫婦に当てはまるわけではないが、碓井教授によると、夫婦の条件と不倫相手の条件が重なったときに不倫は起こると話す。 「すごく魅力的な人が近くにいたとしても、2人がすごく仲良かったら、『あの人素敵だな』とは思うが、それ以上のことは起きない。しかし、どちらかが夫婦関係に納得していないとか、癒されていないと感じたときに、癒しを与える存在が近くにいると、そっちへ行ってしまう」 不倫はしても離婚はしない理由について、碓井教授は「今の家庭は守りたいと思う。家に帰るとご飯ができているとか、かわいい子どもがいるとか。そして、仕事といった社会的立場も維持したいと思う。でも、どこかで別の刺激や癒しがほしい。離婚をするには財産分与などの手続きが面倒くさく、そこまでのエネルギーはない。このような経緯で不倫に至る」と話す。
なぜ殺害まで…“心理的視野狭窄”が原因か
仮に“刺激”や“癒し”を求めて不倫をしたとしても、なぜ人を殺すまでに至るのか。 碓井教授は“心理的視野狭窄”が原因であると指摘する。 心理的視野狭窄とは、ストレスが原因で視野が狭くなってしまう状態のことで、「1つの考えにとらわれてしまい、周囲のことに考えが及ばなくなる」「悲劇化してしまう」「結論を急ぐ」などの症状が見られる。 碓井教授によると、家庭や会社など現在の社会的な立場を守りたい一方で、不倫相手から結婚を迫られたり、夫あるいは妻側から「不倫していたことを会社にばらす」というように脅されたりすると、精神的に追い詰められ「相手を殺せばうまくいく。他の選択肢はない」という思考になり、最終的に殺人などの犯罪に手を染めてしまうのだという。 春香さんと純ちゃんを殺害した渡辺被告もSNSに子どもの写真など、幸せな家庭をうかがわせるような内容を投稿していた。 一方で、裁判では不倫相手から、「結婚する気がないなら別れてほしい」と結婚を迫られていたことも明らかに。 「家庭を持ち、仕事をしている」という社会的立場と不倫相手からの求婚。渡辺被告の当時の状況を考えると、心理的視野狭窄の状態になっていたことも十分に考えられる。
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