【闘病】「乳がん」 2度目の手術は1度目の取り残しだったのか?
とにかくストレスを減らすことが病と闘っていく上で大切
編集部: 治療中に猪狩さんが大切だと感じたこと、意識していたことはどんなことでしょうか? 猪狩さん: 病気の発症直後は誰しも感じると思いますが、何気ない1日が大切ということです。1日は何もしなくても過ぎていきます。そうした1日1日を生きていることに感謝し、自分の周囲にいる人々に感謝し、自分らしく生きていくことが大切だと思います。 また、現実では簡単なことではありませんが、やりたいことをやり、ストレスを回避するよう意識していました。私自身も自覚はあるのですが、ストレスを感じやすい性格で、ストレスが治療に悪影響を与える可能性も考えられると聞いたことがあったからです。 編集部: なるほど。いろいろと溜め込まないようにされていたのですね。 猪狩さん: もともと神経質なタイプです。ですから細かなところにもストレスを感じやすく、闘病中はイライラすることも多かったと思います。 編集部: 闘病の体験を経て、病気になる前の自分にアドバイスするなら何と伝えますか? 猪狩さん: 「年1回の検診を今まで通り続けること」です。早期発見できれば完治の可能性は十分にあります。 編集部: 現在の治療状況や生活の様子も教えていただけますか? 猪狩さん: 現在は3か月に1度の通院を続けています。年齢的に更年期ということもあり、元気な日々を過ごせてはいません。しかし、職場の理解もあって時短勤務を受け入れてくれているので、何とか日々を送れています。
身近な人に自分の病気を伝え、理解してもらうことで助けてもらいやすくなる
編集部: 猪狩さんが病気と闘っていくうえで、大事だと思うことは何でしょうか? 猪狩さん: 私の罹患した乳がんは、若い方でも発症する可能性は十分にあります。しかし、この病気は実際になった人にしか苦しみや大変さが分からず、健康な人にとっては理解しにくいものだと思います。 だからこそ、すべての人に理解してもらおうとするのはむずかしいとしても、身近な人に自分の体験を語っていくことが大切です。現に私と同じ病気に罹患した友達がおり、相談やアドバイスをしたこともあり、私の経験が役に立ったと感じています。 編集部: 医療従事者の方に伝えたいこと、期待することはありますか? 猪狩さん: 医療とは大変な仕事だと思います。昼夜を問わず働く医師に対して、食事や睡眠の時間も削って患者のために働いており、入院中の私も気をかけるほどで、尊敬と感謝の気持ちしかありませんでした。 ただ、こちらも生身の人間で、精神的に弱っています。患者に向けての言葉遣い1つとっても、気を付けていただけると救われる人も多いはずです。 また、看護師の方も待合室で、大声で病状を言うのは避けてほしいです。周りへの配慮、対等な立場に立ってくれる医師・看護師のほうが、治療にも前向きに臨めます。 編集部: 最後に読者へのメッセージをお願いできますか? 猪狩さん: 私自身も別の人から言われた言葉ですが、「自分の体は自分だけのものです。今日中にあなた1人で必ずやらなければならない仕事なんて、この世にはないからね」ということは意識してほしいです。 「自分の代わりはいくらでもいる」と考え、後悔しないためにも検診で今の自分を知ってください。 「検診に行くと、レントゲンやCTで被ばくするから病気になる」とSNSで書き込んでいる人も見ましたが、私はそうは思いません。検査での被ばく線量なんてごくわずかです。どうか恐れず、毎年検診を受けて早期発見してほしいです。