デニムに漆器、美容成分も! 株式会社 明治が「食品以外」のカカオの可能性に着目する理由
1926年に「明治ミルクチョコレート」の販売を開始した株式会社 明治。 これまで数えきれないほどのチョコレート商品を世に送り出してきた同社だが、現在は「ひらけ、カカオ。」をスローガンに、“食品以外”のカカオの活用にも力を入れている。そのラインナップは、デニムに漆器、コースター、タオルなどさまざまだ。しかも今年の1月には世界初となるカカオセラミドの素材化に成功したことを発表した。 今回は、同社グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部の晴山健史さんと本間由香里さんに、カカオが秘める可能性について語っていただいた。
カカオの魅力を高めていく
ー食品以外にカカオを活用するという発想を得た背景を教えてください。 晴山: 当社はこれまで100年近くチョコレートを製造・販売してきました。その原料であるカカオ産地を社員が訪問する中で、カカオ農家さんの生活を目の当たりにし、少しでも力になりたいと、2006年から「メイジ・カカオ・サポート」として支援を続けてきました。 しかし、児童労働や森林減少といった社会課題には、さらに進んだ取り組みが必要だと考え、2022年から「ひらけ、カカオ。」というスローガンで、カカオの新たな価値創造に取り組み始めました。 チョコレート以外にもカカオの新たな可能性をひらくことができれば、カカオ農家さんの負担を増やさずに、カカオの価値を高め、カカオ産地に還元していけるのではないかと考えています。 ー活動のひとつである「CACAO STYLE」は、いつ頃に構想されたものですか。 晴山: 2021年頃から始まり、正式にブランドとして発表したのが2023年6月です。 チョコレート製造現場の経験から、日々排出されるカカオハスク(カカオ豆の皮)をどうにか活用できないかと考えていました。家畜の餌や肥料、燃料として使っていただけるようにはなっていましたが、そこからさらに一歩進んで、付加価値を高めていきたいと考えました。 ですが、カカオハスクはチョコレートを作るときに出てくる副産物なので、それを原料として他社さんに提供するとなると、社内の仕組み作りや品質面など、いくつかの課題がありました。 それでも、「ひらけ、カカオ。」の考えに共感いただいた協業先様のご協力で、CACAO STYLEというブランドの発表にまでたどり着くことができました。 ー「CACAO STYLE」のコンセプトを教えてください。 晴山: 「カカオが新しい価値を生み出す、ライフスタイルブランド」を掲げ、これまで有効活用できていなかったカカオハスクを使った商品開発を行っています。 カカオハスクがデニムになったり、漆器になったと聞くと、多くの方に興味を持っていただけます。驚きや、そこから来る楽しさやワクワク感も大切にしたブランドにしていきたいと思います。