「JTB」が“旅行会社”じゃなくなった!?常識にとらわれない新戦略とは
同じ場所に客が殺到している富士山観光。ここでは穴場スポットを教えて、連れて行ってくれる。9コースあるというバスの周遊ツアーについていくと、気持ちのいい山に到着。突然、富士山の絶景が姿を現した。笛吹市の「FUJIYAMAツインテラス」だ。 近くには絶景を見ながら楽しめるカフェ「リリーベル ヒュッテ」も。ここもJTBが運営する。(※4月下旬~11月下旬営業予定) JTBは山梨県内にいくつもの観光拠点を整備、「カイフジヤマロード」と名付け、富士山エリアの新たな魅力を伝えようと取り組んでいる。 「山梨にはまだまだ魅力的な観光コンテンツがたくさんある。山梨県内を回遊させる仕組みが『カイフジヤマロード構想』です」(代永) 現在、JTBは、甲府駅から近いにもかかわらず客足が少ない湯村温泉を、新たな宿泊の受け皿として、地元とタッグを組み、整備しようとしている。せっかく訪れてくれた海外の観光客に少しでも日本を楽しんでもらいたい。創業から変わらぬJTBの信念だ。
和歌山県にある世界遺産「熊野古道」。決してアクセスがいいとは言えない場所だが、今、スペイン人の間で「熊野古道」のツアーが「神聖」「自然が豊か」と人気を呼んでいる。JTBはわざわざスペイン語ガイド付きツアーをつくり、熊野エリアを売り込んで来た。 日本の魅力を海外に発信し続けて112年。旅は今後、どう進化していくのだろうか。
便利なJTBの使い方~驚きのクルーズ船&宇宙旅行に挑戦
客が「ゴールデンウィークにいいところある?」などと旅の相談をしているのは、パソコンの向こうにいるJTBの「リモートコンシェルジュ」(無料)。応対しているのは、JTBでも35人しかいない、あらゆる旅に詳しい「ロイヤルスタッフ」の高澤美紗だ。 「自分も旅行が好きなので、好きなところにお客様が行ってくれるのは楽しいです。お客様のワクワク感を引き立てたい」(高澤) コロナ禍に立ち上げたサービスだが、忙しい顧客向けに利用が増え、この半年だけでも4000件の旅行がこれで成約している。 横浜の埠頭にやってきたJTBクルーズの中島秀二。停泊しているのは12月1日に就航したばかりのクルーズ船、「三井オーシャンフジ」だ。 船に乗り込んだ中島はスイートルームを入念にチェックする。 「91日間という長旅になるので、こちらがお客様のご自宅になる。くつろぐ空間になりますから、疑問点を極力払拭してご乗船をいただきたいなと」(中島) 船は全室スイートという日本初のプレミアムなクルーズ船。「JTB南米ワールドクルーズ」(90泊91日、1人630万円~)は太平洋の島々を巡り、3カ月かけて南米大陸を一周するツアー。イースター島やペンギンが生息するフォークランド諸島も回るという。 「世界中の客船の中では小型の部類の客船ですが、小さいからこそできる」(中島) 大型クルーズ船に比べ、乗船客は10分の1以下という小型船だが、施設はゴージャスだ。甲板のプールやジェットバスはもちろん、さまざまなショーが行われるステージにラグジュアリーなスパ。あの三國清三シェフが監修している料理も提供される。 こだわりが詰まったJTBのツアーに、運行する「商船三井クルーズ」は、「どのように船内でおもてなしをするか、そのノウハウはJTBさんがたくさんお持ちですので、それを私どもとすり合わせながら取り組んでまいりたいと思っています」(ホテルゼネラルマネージャー・川野惠一郎さん)と言う。