「JTB」が“旅行会社”じゃなくなった!?常識にとらわれない新戦略とは
JTBの変化はかつてのドル箱、修学旅行でも起きている。札幌教育旅行センター・大串真一がやってきたのは札幌市の札幌新陽高校。修学旅行を控えた生徒たちに「修学旅行の学びを効果測定」するためだ。 JTBが修学旅行に導入している学習効果を測定できるサービス「J’s GROW」。生徒たちは、修学旅行のさまざまな活動についてどんな思いを持っているかなど、事前アンケートに回答。このデータが、修学旅行から戻った後に検証されるという。 「生徒の意識にどんな変化が起きたのか、それぞれの活動について測れる。『学びにつながらなかった』『期待通りでなかった』となると、『コンテンツを入れ替えたほうがいい』などと改善につながります」(大串) 「J’s GROW」を実施することで修学旅行を通して、論理的思考力や課題設定力など具体的な成長を測定することができるという。すでに全国約40の学校で導入されている。 「『行って終わり』ではなく、『この経験はこうだった』と振り返りができることは大事。それを助けてくれるツールだと期待しています」(赤司展子校長)
創業時は外国人客向け事業~穴場の富士山、驚きの新施設
京都市内にある創業206年を数える旅館「柊家」。川端康成の定宿として知られ、あのチャップリンも宿泊したという京都を代表する宿だ。 6代目の女将・西村明美さんが見せてくれたのは「日本の文化を紹介する本」。80年前のものだという、英語で日本を紹介する冊子だ。当時は珍しかった外国人をもてなすために使われていたという。 「客室係が細かくご説明できないので、この本を海外からのお客様に渡して日本文化への理解を深めていただいたいのだと思います」(西村さん) 当時、この冊子を全国の旅館に配っていたのが「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」。JTBの前身だ。実はJTBは創業時、日本へ来る外国人客向けの事業を行っていた。日本の良さを海外へ発信することが最大の使命だったのだ。 そんなスタートから112年。海外からの観光客が多く訪れる富士山観光の玄関口、河口湖駅。駅前からちょうど見えるビルの窓に、英語が流れる電光掲示板が。入り口から次々と外国人が吸い込まれていく。JTBが2023年に作った自社で運営する観光案内所、「ツーリストベース河口湖」だ。 館内では、ほうとうが食べられたり、鎧兜の体験コーナーがあったり、駄菓子まで並んでいる(30分、1500円)。 「河口湖に外国の方がいらっしゃって、オーバーツーリズムの観点から、ここから山梨県内のさまざまなところに観光客が分散する仕組みを作るため、2023年にオープンしました」(観光開発プロデューサー・代永政人)