「JTB」が“旅行会社”じゃなくなった!?常識にとらわれない新戦略とは
いまや旅行会社ではない?~交流創造事業&様変わり修学旅行
奈良・天川村の秘境「みたらい渓谷」でJTBが企画した催しに、続々と参加者が到着する。その一人一人に巨大なカメラを渡し始める。 プロによる撮影講座が始まった。これは「富士フイルム」が行う最新モデルの体験会。フルセットで100万円近くするカメラを実際に触ることができる。 イベント自体を企画し、取り仕切っているのがJTBだ。旅行中心だったJTBは、企業と組んで人を集めるビジネスにも挑んでいる。 「JTBは旅行だけでなく、人を集める。今回もユーザーを集めた企画で、人を集めることによって企業もお客様もウィンウィンに。人と交流を創造する交流創造事業に力を入れています」(ビジネスソリューション事業部・若園賢吾) 今、JTBがこだわるのが交流を生み出す事業。山北は、旅行業の枠組みを捨て、交流創造事業こそがJTBの新たな事業目標だと打ち出している。 「事業を交流と捉え、旅行業から交流創造事業へ。そもそも事業自体を大きく交流の場と捉え直して、新しいビジネスを作っていくことを考えています」(山北) JTBが交流を生み出し、実際にビジネスにつなげている現場を取材した。 グローバルビジネス推進課・岡﨑宏昭が訪ねたのは、宮城・塩竃市の「直江商店」。「おとうふかまぼこ」という小麦や卵を一切使用しないかまぼこが人気のメーカーだ。 岡崎は1週間前、オーストラリアのシドニーへ赴き、水産加工品の商談会を開催。「直江商店」など22社の商品を現地のバイヤーへ直接売り込み、その報告をしにきたのだ。この商談会はJTBが行う輸出を促進するイベント。三陸などの水産加工品メーカーと海外のバイヤーとの間に交流を生み出すことで、新たなビジネスを作り出していく。 「JTBさんは旅行のイメージだったので、商談会と聞いて意外な組み合わせと感じたのですが、しっかりサポートしていただき、頼りがいのある企業だと思いました」(「直江商店」商品企画チーフ・渡邊未妃さん) 福島・相馬市のメーカー「マルリフーズ」はJTBの輸出促進イベントに何度も参加してきた。あおさを使ってさまざまな商品を開発。JTBのサポートで、すでに海外とのビジネスが始まっているという。 「マレーシアとオーストラリアにここ数年、複数回の注文をいただいているお客さんがいる。十分、効果が出ています」(営業部部長・阿部純也さん) 旅行業から交流創造事業へ。JTBのビジネスは一気に拡大している。