「JTB」が“旅行会社”じゃなくなった!?常識にとらわれない新戦略とは
便利な欧州ぶらり旅に密着~名所巡りから穴場探検まで
今、ヨーロッパを満喫できるJTBのユニークなツアーが人気を呼んでいる。旅慣れていない人でも気軽に楽しめる、今までにないバスツアー「ランドクルーズ」だ。 さまざまな都市をつなぐコースが最短4日のものから100以上用意されていて、それを組み合わせることで自分に合わせたバスツアーを組むことができる。 「ヨーロッパのいろいろなところにツアーがあって、出発する街も選べます。例えば『チェコ・プラハで開始してドイツを回り、オーストリア・ウィーンで終了』のように自由に組み合わせることができます」(ランドクルーズ日本語現地添乗係員・田邉葵) 例えばオーストリアのウィーンからハンガリーのブダペストへ行くコース。朝、出発したバスは、ウィーンを離れて1時間ほど走るとハンガリーとの国境に。国境を越えながらヨーロッパを感じられるのもバス旅ならではの魅力だ。 バスはこの日最初の目的地ショプロンに到着。中世の面影を残す街並みの、オスマン帝国の攻撃を逃れた数少ない町で、普通のツアーではなかなか立ち寄れない。 「ランドクルーズ」は、ガイドが同行する一方、自由行動の時間が多く、食事も好みのものを食べられる。ツアーの安心さと気ままな旅のいいとこ取りなのだ。同じバスに複数のツアーの参加者が乗っているため、途中で他のコースへ分かれていく参加者も少なくない。 実は「ランドクルーズ」の開発を手がけたのはヨーロッパ駐在時代の山北だ。 「ヨーロッパは地続きで、いろいろな形で地上を移動していくことで、田舎や、自分で手配していくには大変な場所に、バスで安全に訪れていただく。かつ、自由に旅行をしたい時、2日間だけ乗って乗り換えて違うところに行くとか、自由度の高いツアーです」(山北) 山北は40代から50代にかけてヨーロッパに赴任。JTBの海外事業拡大を強力に推し進めてきた。「ランドクルーズ」は、現地で買収したバスツアー会社のサービスを日本人向けにカスタマイズしたものだ。 ツアーのバスは夕方4時、ハンガリーの首都ブダペスト市内へ。ドナウ川のほとりで世界遺産の街が輝きを放っていた。 顧客のニーズに寄り添い旅を進化させ続けるのがJTBの強さの神髄だ。