写真の背景を別世界にできる「フォト」アプリのAI画像生成機能「リスタイル イメージ」
■ 「フォト」アプリに画像生成AIを導入 Windowsに標準搭載されているアプリ「フォト」は名前のとおり、写真を見るためのビューワーなのだが、画像編集も可能だ。加えて、「Copilot+ PC」の「フォト」には、NPUを活用する追加機能が用意されている。 【画像】「フォト」アプリで写真を開いたところ。左上にある[編集]ボタンから編集画面を出せる 「フォト」アプリで画像を開いた後、画面左上にある[編集]ボタンのクリックで表示できる編集画面の「リスタイル イメージ」という機能で、NPUを使用する。 ■ AIが画像のスタイルを変える「リスタイル イメージ」 今回は筆者の写真を使ってテストしてみる。アメリカに行った時、街中で撮影してもらったものだ。20年近く前の写真で、解像度は1,600×1,200ドットとそれほど大きくはない。作業内容に合った写真を探したらこれだったというだけで、深い意味はない。 画面上部のタブから[リスタイル イメージ]を選ぶと、いくつかのスタイルが表示される。各スタイルのアイコンをクリックすることで、写真がそのスタイルに合わせて加工される。 試しに[ファンタジー]を選んでみると、現代的だった街並みがちょっと古風なイメージにアレンジされる。他のスタイルも選ぶごとに別の絵になっていく。いろいろ破綻している部分はあるものの、雰囲気ががらりと変わるのは面白い。 またアイコンの下に表示される「創造性」のバーを動かすことで、アレンジされる度合いが変わる。数字を減らせば元の画像に近くなり、増やせば元の画像から離れていく。 スタイルはアイコンを選択するだけでなく、テキストボックスに自由に記述して指定できる。ここまでの流れでわかるとおり、処理としては「ペイント」アプリの画像生成AI「Cocreator」と同じことをやっているようだ。 「フォト」アプリがユニークなのは、手前に映っている筆者の姿には何ら影響を与えず、背景だけを処理している点だ。これは[創造性]のバーの下にあるメニューで[バックグラウンドのみ]を選択しているため。被写体を自動で理解し、それ以外の部分を加工せよという指示になっている。 この指示はほかに[前景のみ]や[全てのスタイルを変更]も項目にあるのだが、筆者の環境では[バックグラウンドのみ]以外は選択できなかった。解決方法が見つかったら追試したいと思うが、被写体だけを加工するか、被写体も背景もまとめて加工するかという指定だと思われる。 この加工が行われた際、NPUの使用率は100%に達する。ただし処理にかかる時間は数秒で、NPUを使うのも一瞬だけだ。 ■ NPUを使わない機能も充実 「フォト」アプリには、NPUを使用しない加工機能が他にもあり、「Copilot+ PC」ではないWindows 11搭載PCでも利用可能だ。[消去]はいわゆる消しゴム機能で、選択した範囲の人や物を自然な状態に近づけて消去する。 [背景]は、[リスタイル イメージ]と同様に被写体だけを自動で抜き出す機能。背景はぼかしを入れたり、削除したり、別の色で置換したりできる。 「フィルター」は全体の色味の変更。「トリミング」は画像の切り抜きだ。いずれも操作は直感的でわかりやすい。ちょっとした写真の加工であれば、「フォト」アプリで完結できることも多いと思う。 なお「フォト」アプリには、AIによる超解像機能も導入予定。おそらくアップデートで対応すると思われるので、実装された際には試してみたい。 著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお) 1977年生まれ、滋賀県出身 ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。 ・著者Webサイト:https://ougi.net/
窓の杜,石田 賀津男