第93回選抜高校野球 宮崎商3回目、春切符 /宮崎
<センバツ甲子園> ◇「夢が実現」「感動と勇気与えたい」 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)への52年ぶり3回目の出場が29日決まった県立宮崎商。昨秋の九州大会4強の実績が評価された。大会は2月23日に組み合わせ抽選会があり、3月19日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。【塩月由香、上入来尚】 宮崎市和知川原3の同校では、門田誠校長らが窓を開けた多目的教室で朗報を待った。新型コロナ感染防止のため、場所を校長室にしなかった。午後4時15分、電話の着信音が響くと受話器を取り、「ありがたくお受けいたします」。隣の山口博範部長や橋口光朗監督らとグータッチし、喜びをかみしめた。 この後、部員が待つグラウンドへ。門田校長が「皆さんの夢が現実になった。おめでとう」と伝え、橋口監督も「県民の皆様に感動、勇気を与え、恩返しできるように」と激励。選手は小さくガッツボーズして笑顔を見せ、すぐに練習を始めた。九州大会でも本塁打を放った主砲の西原太一選手は「夢だった甲子園。勝利につながる長打を放ちたい」と意気込んだ。 報道陣に加え保護者やOBも最少人数に絞って発表に臨んだ。保護者会長の西村真吾さん(47)は「甲子園で普段の力を出せるような環境を作ってやりたい」と話した。 ◇知事「旋風起こせ」 河野俊嗣知事もコメントを発表。「県民の皆様と喜びを分かち合いたい。新型コロナの感染拡大により先行き不透明だが、優勝を目指し旋風を巻き起こして」と期待を込めた。 ◇「甲子園は必ず糧になる」 52年前出場のエース西井さん感無量 52年ぶり3度目のセンバツに「生きているうちに夢の舞台で戦う後輩をまた見られるなんて」――。前回出場時のエース右腕、西井哲夫さん(69)は国富町の自宅でスマートフォンのオンライン中継で朗報を知り、喜びをかみしめた。 1969年2月、前年秋の九州大会を全試合完封で優勝に導き、66年に続く同校2度目の春切符を手に。卒業後にドラフト2位でヤクルトに入りプロで18年間過ごしたが、「メッタ打ちされた」センバツの初戦マウンドが一番思い出深い。緊張して自分の投球ができず、千葉・銚子商に0―5で負けた悔しさが人生に役立った。 プロを引退し、会社員も定年となった後は小中学生向け野球教室をしながら、母校の朗報を待った。2016年夏の県大会準優勝時はOB会長で「あとちょっと。でもそのちょっとが難しい」。甲子園に行く厳しさを再認識した。 昨秋の県大会。逆転に次ぐ逆転で県の頂点に立った母校に「もしかしたら」と胸が高鳴った。続く九州大会は52年前と同じ長崎県開催で「運命を感じた」という。監督と選手たちには「勝っても負けても精いっぱいやればいい。楽しめ。甲子園は必ず糧になる」。OB仲間と最大限支える。【塩月由香】