東京、本当にうまいそば「鴨南蛮」ベスト4…しっとりやわらか、大人気の一杯を《北品川・神保町・西早稲田・日本橋》で発見
寒くなってきましたねぇ。今こそ魅力満開、味わいたいのが温蕎麦。なかでも王道の鴨南蛮に注目。名店の隠れた逸品あり、専門店あり。蕎麦・ツユ・タネ物が織りなす美味でほっこり温かい年末年始を! 【写真】わずか8席の小さき名店も…うまい「鴨南蛮の店」ギャラリーはこちら
北品川「手打ちそば しながわ翁」
冷たい蕎麦が旨いのは大、大、大前提。その上で我々が熱視線を送るのが根強いファンがいる鴨南蛮だ。火入れにこだわる鴨肉はしっとりと柔らかく、香ばしい焼き目を付けた太めのネギは甘くて中がとろっとろ。 その旨みが溶け込んだツユの何と奥ゆかしいことよ。質と量といい、満足感が半端ない。安定した品質を提供するため、その時々で産地をブレンドしているそう。旨さは素材選びから提供まで。手を抜く工程は一切ない。正直な味に脱帽だ。
神保町「手打蕎麦たかせ」
品書きを見れば鴨の串に陶板焼き……鴨のつまみが充実している蕎麦屋は、100%の確率で鴨南蛮が超絶に美味しい(筆者調べ)。ふくよかな肉に2個の団子を携えた魅惑のルックス、食べる前から心が躍る。鴨は宮城・蔵王産の生のむね肉を使用。噛むほどに野趣あふれる鮮やかな旨みは新鮮な素材ならではだ。 ツユは2年物の本枯節を毎朝自家削りしてダシを仕込み、スッキリと雑味のない味に仕上げている。時期で産地を変える蕎麦は歯切れのいい食感と香り。それらすべてが三位一体となった冬のご馳走、さあ召し上がれ!
西早稲田「手打そばもり」
せいろ派も身を乗り出す極上の一杯をご紹介しよう。その店はわずか8席の小さき名店。鴨南蛮を注文すると、若き2代目がロース肉をカットして作り始めた。フライパンで脂身の側をよく焼くのがポイント。 ひと口味わって、天を見上げた。何という奥深いコク、滋味に満ちた芳しさなのか。分厚い旨みを受け止める蕎麦は細くたおやかな口当たり。感動。 もちろん冷たい蕎麦の旨さは言わずもがな。せいろ、田舎、そして一風変わった季節の変わり蕎麦まで、ハートをぶち抜く味が揃う。
日本橋「京都鴨そば専門店 浹」
旨い蕎麦を追求する店主のこだわりはさまざまだが、関西出身の米田さんが営むこの店の要はダシ。それが看板の「鴨そば」だ。澄んだ琥珀色は品格をたたえ、舌で受け止めれば丸みのある旨さがじわりと伝わってくる。 特徴となるツユは北海道産の昆布を水にひと晩つけ、翌朝煮出したものに、カツオやサバなど節類を加えて淡口醤油で調えたもの。クセのない国産鴨とも相思相愛。のどを滑り落ちる二八蕎麦の香り、ツユに移る九条ネギの甘みまで計算され尽くした渾身の一杯なのだ。 ダシ命の徹底ぶりは他の料理にも。揺るぎない姿勢に、ただ感服です …つづく「東京のうまい 「東京老舗の「絶品そば」ベスト3店…のどごし最強クラスの絶品を《浅草・目白・小川町》で見つけた」では、あまたひしめくそば屋の中から、選りすぐりのお店を紹介します。 『おとなの週末』2022年1月号より(※本内容は発売時点の情報です)