【Bリーグ】佐土原遼が相手エースに挑んだ決意の1オン1「これを逃したら後悔すると感じた」【バスケ】
敵エース、メインデルへのチャレンジ
「アルバルク東京とは同じ中地区なので、あと3回対戦することができます。そこはすごく楽しみですね」 そう語った佐土原遼の話しぶりは、チャレンジを楽しむファイターのそれだったように感じられた。 B1レギュラーシーズン第4節、A東京のホームに乗り込んだファイティングイーグルス名古屋は、終盤の猛追も及ばす77-81で惜敗した。序盤に先行したのはFE名古屋で、並里成とショーン・オマラを起点にピック&ロールからズレを作り、インサイド、キックアウトからのアウトサイドとバランスよく得点を積み重ねる。ディフェンスでもA東京の分厚いインサイド陣に簡単に得点されず、内尾聡理がトランジションからレイアップを沈めて14-6とした1Q残り5分51秒で、A東京に試合を通じて始めてのタイムアウトを取らせてみせた。 その後は落ち着きを取り戻したA東京が、ライアン・ロシターや安藤周人が前半のチームをけん引。後半には福澤晃平がゲームメイクと3Pシュートで大きな役割を担うなど、一転してA東京がペースをつかみ、最大12点をリード。FE名古屋もオマラの安定したインサイド、中村浩陸の果敢なペイントアタック、保岡龍斗の要所の3P、終盤の並里の連続3Pなどで追い上げを見せたが、あと一歩及ばなかった。 悔しい敗戦となったが、冒頭の佐土原の言葉のようにA東京へのリベンジの機会はあと3度ある。川辺泰三HCが「今はチームビルディングの期間」と話しており、主力が多く入れ替わったFE名古屋としては、このタイミングでA東京と好勝負ができたことも収穫にはなったはずだ。特に佐土原の視点で見ると、収穫の多い試合だったに違いない。 彼はこの試合、オマラ(37分11秒)に次ぐ27分8秒出場時間を得た。スタッツは4得点、2アシストと控えめだったが、特にディフェンス面では敵エースのレオナルド・メインデルをマークする大役を任された。 「自分たちはディフェンスのチームで、メインデルにつけるのは佐土原しかいないと思ってました。サド(佐土原)はメインデルに対して非常にフィジカルにディフェンスを遂行したんじゃないかと思います。フォワードタイプの外国籍選手のマッチアップとしてはサドがフィジカルもフットワークも一番。そこをどれだけ彼がやれるかが、このゲームにおいてすごく大事なところでした」 川辺HCがこう評価するように、佐土原のディフェンスは高評価に値するものだった。フィジカルと機動力を生かしてメインデルに食らいつき、1Qと3Qはトータル2得点しか許していない。メインデルが下がれば佐土原も下がる。メインデルが出れば佐土原も出る──川辺HCは徹底してメインデルには佐土原をマッチアップさせ続けた。そして、佐土原はそのチャレンジを自らの現在地を確かめる場と捉えていた。 「メインデル選手はブラジル代表でもありますし、ワールドカップやオリンピックにも出場した経験豊富な選手。全部を止められるわけではないですけど、要所で相手にダメージを与えるようディフェンスすることを心がけていました。個人的には、自分が今どれぐらいのレベルにあるのかを確かめる機会でもありました。もちろん、チームの勝利が第一優先ですが、ポジション的に僕がこれからマッチアップしていく選手は代表クラスの選手になってくると思うので、そこにどれだけ食い込んでいけるのか。そのためにもメインデル選手に対してディフェンスではアグレッシブにプレッシャーをかけたり、オフェンスでは抜いて得点してやろうという気持ちもありました。まだ差があるなと感じましたが、僕は日本代表を目指しているので、あと2、3歩ステップアップできればその可能性も出てくるのかなと感じられました」と佐土原。彼個人にとっても、敗戦の中に確かな手応えを得られた試合となったようだ。 オフェンス面でも、A東京の分厚いインサイド陣に対して果敢にアタックする姿が印象的だった。スタッツでは被ブロック4本と相手の高さに屈した形になり、佐土原も「最後のフィニッシュのところでサイズ選手やグダイティス選手のようなビッグマンがいる中でどうフィニッシュするのかを工夫しなければならない」と反省の弁。川辺HCも「ペイントタッチをオープンコートもできてるように見えるけれども、リムプロテクターがいる中でやってしまっているので、そこの判断は悪かったと思っています」と辛口評価を佐土原に与えていた。だが、続けてこうも話していた。「例えば4対3のトランジションの中でどう判断していくのかを今、彼には求めています。そういうところで良い判断ができるようになれば、サドはよりスペシャルな選手になっていくと思います。彼のアタックは日本人離れしているけれど、アルバルクであれば(セバスチャン)サイズやロシター、(アルトゥーラス)グダイティス、メインデルが相手になってくるので、その中で良い判断ができるようになれば、よりすばらしい選手になれると思います」。辛口評価は裏を返せば、それほどの期待の表れ。だからこそ、チーム2番目のプレータイムを佐土原に与えたのだろう。