【Bリーグ】佐土原遼が相手エースに挑んだ決意の1オン1「これを逃したら後悔すると感じた」【バスケ】
最終盤で見せたアタック「正直、自分を優先してしまった」
この試合の最終盤に、筆者が感銘を受けた場面があった。4Q残り1分28秒、71-77の場面でそれは起きた。A東京のオフェンスを守り切り、トランジションとなった場面でメインデルと佐土原の1オン1シチュエーションが訪れた。時間と点差を考えると、まずは3Pを狙いたい場面ではあった。だが、佐土原は果敢にメインデルとの勝負に挑み、屈強なフィジカルでメインデルを吹き飛ばしてみせたのだ。最終的に、メインデルのアスレチズムと執念によって佐土原は豪快なブロックショットの餌食となったわけだが、この1プレーは試合を通しての彼の象徴的なシーンでもあった。 本人にその真意を問うと「自分がやってやると意識していましたね。本来は3Pを狙う場面でしたが、あそこでメインデル選手と1対1になって、これを逃したら後悔するなと感じたんです。彼に1対1でチャレンジする機会はこの試合の中ではもう残されていないかもしれない。チーム優先ではあるのですが、あの場面では正直、自分のことを優先してしまった部分は少しありました」と本音を話した。「でも、あそこでメインデル選手と1対1ができたことは今後の自分につながるなとも感じましたし、それをゆくゆくはチームに還元できれば、この負けも、あの1本のドライブもプラスに捉えることができるのかなと思います。なので、僕の中ではあのドライブは間違った選択肢ではなかったと思っています」 結果的に失敗したプレーに対して、明確に後悔なしと答えた佐土原。日本人選手の中に、外国籍選手とのマッチアップに対してこれだけの積極性を持って臨む選手がどれだけいるのか。彼のこのプレーは、これからの日本人選手が目指していくメンタリティを体現したかのように映った。 佐土原はこうも語っていた。「メインデル選手はペリメーターの選手の中ではBリーグでもトップ3に入るような選手だと思います。今日はずっと彼とマッチアップしていて、彼も僕をマークしていました。僕にとってメインデル選手はこれから追いかける存在の1人でもありますし、代表に入るためにはああいう選手を倒さなければなりません。ありがたいことにアルバルクとは同じ中地区なので、あと3回対戦することができます。そこはすごく楽しみですね」。冒頭の言葉は、こうした時系列の中で出た言葉だった。 川辺HCが再三口にした「今はチームビルディングの期間」という言葉の中には、佐土原のような若い選手の成長も含まれているはずだ。昨季、惜しくもチャンピオンシップを逃したクラブにとっては、まずはそこに到達することが目標となる中で、勝ち星と育成をどう両立していくか。その意味では、メインデルに対する佐土原のチャレンジは、彼の言葉どおりいずれチームの財産として還元される日が来るはずだ。 FE名古屋の次節の相手は宇都宮ブレックス。佐土原のマッチアップはD.J・ニュービルや比江島慎になるだろう。彼の次節の奮闘からも目が離せない。
文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)